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日本銀行は10月1日に、9月17、18日開催分の金融政策決定会合における主な意見を公表した。9月の会合で日本銀行は、前回6月から短期間での利上げを決め、利上げペースを加速させた。植田総裁は、「政策の局面が変化した」と説明した。
 
日本銀行が連続利上げや0.5%の大幅利上げなど、利上げ姿勢をさらに強化する可能性があるかどうかを推し量るうえで、この主な意見は金融市場で大いに注目されていた。
 
主な意見の記述では、さらなる利上げを支持する発言が目立ったものの、次回10月会合での連続利上げや0.5%の大幅利上げを支持する意見はみられず、想定したよりもタカ派色は強くなかったと言える。
 
実際、10月会合での連続利上げや0.5%の大幅利上げの可能性は現時点では低いと考えられる。この点は、同日に発表された日銀短観(9月)でも示唆されたと考えられる(コラム「企業景況感は改善も、個人消費にリスク:原油高騰による企業の物価上昇懸念はやや緩和(日銀9月短観)」、2026年10月1日)。金融市場(OIS市場)が想定する10月の会合で0.25%の利上げ確率は、現在20%程度にとどまっている。
 
主な意見でもう一点注目されるのは、財務省、内閣府からの出席者の発言だ。ともに、利上げについて、説明責任を果たすこと、その効果を丁寧に検証することなどを日本銀行に求め、利上げに対する否定的な姿勢を滲ませた。
 
9月の会合前には円安阻止のため、トランプ政権から日本銀行の利上げを期待する声が示され、日本政府の日銀の利上げに対するけん制姿勢も封じられた感があった。しかし、主な意見を見ると、日本政府から日本銀行への利上げ牽制の姿勢はなお続いているように見える。
 
政策金利は日本銀行が示した中立水準1.0%~2.5%程度のレンジに入ってきたことを根拠に、内閣府の出席者は、さらなる利上げに慎重な姿勢を日本銀行に暗に求めた。他方、政策委員の発言からは、中立金利が推計値から上振れる可能性や、中立金利の推計値にこだわらない柔軟な政策を求める声があった。中立金利の推計値が、さらなる利上げを巡る、日本銀行と政府の間での大きな争点になっていることがうかがえる。
 
主な意見や日銀短観(9月調査)を踏まえると、日本銀行が連続利上げや0.5%の大幅利上げに動く可能性は高くないと考えられる。12月会合での0.25%の利上げの可能性を見ておきたい。その場合、利上げの間隔は約3か月と9月の利上げ時と同程度である。
 
他方、原油価格高騰を受けた企業の値上げの動きが山を越えてきた点を踏まえると、円安、原油価格が現状水準で推移する場合には、来年に入ってからの利上げの間隔は再び開いていくものと予想する。

プロフィール

  • 木内 登英のポートレート

    木内 登英

    金融ITイノベーション事業本部

    エグゼクティブ・エコノミスト

    

    1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。

※組織名、職名は現在と異なる場合があります。