「こどもNISA」の概要
2027年1月に未成年向けの新しい非課税投資制度の「こども支援NISA」、通称「こどもNISA」が始まる(コラム「2026年度税制改正でNISAつみたて枠を18歳未満にも解禁へ」、2025年12月15日)。それに向けて、2026年10月1日から一部の証券会社や銀行が、口座開設の申し込み受付を始めた。
通常のNISAは18歳以上しか利用できない。以前は18歳未満を対象とする「ジュニアNISA」があったが、口座開設が期待したほど進まなかったことなどから、2023年末に廃止となり、それ以降は未成年向けの非課税投資制度はなくなっていた。
「こどもNISA」の対象は、その年の1月1日時点で18歳未満である若年層となる。使えるのはNISAのうち「つみたて投資枠」だけで、購入できる商品は通常のNISAのつみたて投資枠と同じだ。年間の投資上限は60万円、0~17歳を通じた非課税保有限度額は600万円である。18歳になると「こどもNISA」は成人向けの通常のNISAに自動で移行し、そのまま運用を続けることができる。
口座の名義は子どもであるが、18歳までは、運用管理者として、口座開設、商品選び、払い出しの手続きなどを親が担う。祖父母は、管理者よりも資金の出し手となるケースが多いとみられる。
通常のNISAは18歳以上しか利用できない。以前は18歳未満を対象とする「ジュニアNISA」があったが、口座開設が期待したほど進まなかったことなどから、2023年末に廃止となり、それ以降は未成年向けの非課税投資制度はなくなっていた。
「こどもNISA」の対象は、その年の1月1日時点で18歳未満である若年層となる。使えるのはNISAのうち「つみたて投資枠」だけで、購入できる商品は通常のNISAのつみたて投資枠と同じだ。年間の投資上限は60万円、0~17歳を通じた非課税保有限度額は600万円である。18歳になると「こどもNISA」は成人向けの通常のNISAに自動で移行し、そのまま運用を続けることができる。
口座の名義は子どもであるが、18歳までは、運用管理者として、口座開設、商品選び、払い出しの手続きなどを親が担う。祖父母は、管理者よりも資金の出し手となるケースが多いとみられる。
「こどもNISA」のメリット
「こどもNISA」のメリットは以下の点にある。第1に、通常のNISAの枠を使い切った親や祖父母にとっては、事実上非課税枠が拡大されることになる。それを通じて子どもの将来の教育費の備えを強化することができる。
第2に、次世代への資産移転を容易にする。親や祖父母が「こどもNISA」に入金すると、それは子や孫への贈与となる。「こどもNISA」の年間の上限60万円は贈与税の基礎控除の年間110万円の範囲に収まることから、非課税で贈与が容易にできる。特に、子どもの口座への入金だけで、贈与の証拠を容易に残すことができることが重要だろう。中高年層から若年層に資産を移転することは、消費を促し経済を活性化する効果も期待できるとみられる。
第3に、「こどもNISA」の運用を巡って、将来にわたる資産形成について、親と子が対話する機会が増えることが期待される。それを通じて、家庭内で金融教育が進むことになるだろう。
第4に、政府にとっては、「こどもNISA」の創設は、NISAの拡充策であり、「貯蓄から投資へ」の政策を後押しするものとなる。「ジュニアNISA」の口座開設が期待したほど進まなかったことの経験を踏まえて、「ジュニアNISA」から制度が修正された。「ジュニアNISA」では、18歳まで資金を引き出せないこと、仮に途中で引き出すと過去の金融所得に課税され、口座も廃止となることなどが、制度の利用拡大を妨げていた面があったと考えられる。この経験から、「こどもNISA」では、12歳以降は、教育費などに限り、子どもの同意を得たうえで、条件付きで引き出しを可能とした。
また、非課税期間は「ジュニアNISA」の5年から、「こどもNISA」では無期限にしたことも、利用しやすさに配慮した制度の見直しだ。
第5に、銀行にとっては、若年層の新規の預金口座開設、預金獲得の好機となる。銀行でこどもNISAを始める場合は、子ども名義の普通預金口座を作るのが一般的と考えられる。
第2に、次世代への資産移転を容易にする。親や祖父母が「こどもNISA」に入金すると、それは子や孫への贈与となる。「こどもNISA」の年間の上限60万円は贈与税の基礎控除の年間110万円の範囲に収まることから、非課税で贈与が容易にできる。特に、子どもの口座への入金だけで、贈与の証拠を容易に残すことができることが重要だろう。中高年層から若年層に資産を移転することは、消費を促し経済を活性化する効果も期待できるとみられる。
第3に、「こどもNISA」の運用を巡って、将来にわたる資産形成について、親と子が対話する機会が増えることが期待される。それを通じて、家庭内で金融教育が進むことになるだろう。
第4に、政府にとっては、「こどもNISA」の創設は、NISAの拡充策であり、「貯蓄から投資へ」の政策を後押しするものとなる。「ジュニアNISA」の口座開設が期待したほど進まなかったことの経験を踏まえて、「ジュニアNISA」から制度が修正された。「ジュニアNISA」では、18歳まで資金を引き出せないこと、仮に途中で引き出すと過去の金融所得に課税され、口座も廃止となることなどが、制度の利用拡大を妨げていた面があったと考えられる。この経験から、「こどもNISA」では、12歳以降は、教育費などに限り、子どもの同意を得たうえで、条件付きで引き出しを可能とした。
また、非課税期間は「ジュニアNISA」の5年から、「こどもNISA」では無期限にしたことも、利用しやすさに配慮した制度の見直しだ。
第5に、銀行にとっては、若年層の新規の預金口座開設、預金獲得の好機となる。銀行でこどもNISAを始める場合は、子ども名義の普通預金口座を作るのが一般的と考えられる。
「こどもNISA」の課題
一方、「こどもNISA」にはいくつかの課題もある。第1は、子どもの教育費を銀行預金などで積み立てる場合と比べ、投資のリスクがあることだ。
第2に、「ジュニアNISA」よりは改善したとはいえ、なお払い出しの制限がかなり厳しいことだ。12歳未満では、家庭の都合で自由に引き出すことはできない(3月31日時点で12歳になる年の1月1日以降から引き出せる)。災害や病気などやむを得ない事情なら例外となる可能性はあるが、家計の赤字や親の急な出費を埋めるための引き出しは認められない。
また12歳以降には引き出しは可能となるが、それも厳しい条件付きだ。使い道が子どものためであること、子どもが払い出しに同意したことを示す書面をそろえて、親権者などの口座管理者が金融機関に申出書を提出する必要がある。
条件を満たさずに資金を引き出すと、「ジュニアNISA」と同様に、「こどもNISA」の口座は廃止され、それまで非課税だった分配金や譲渡益にさかのぼって課税される場合があるようだ。
第3に、金融機関を変更できない。通常のNISAは年単位で金融機関を変えられるが、「こどもNISA」は一度口座を開くと原則変更は認められない。
第4に、子どものNISA口座を使って積み立てた資金を、親が使ってしまう可能性がある。このために払い出しの制限がかなり厳しくなっているが、それでもリスクは残る。子どものNISAを使って、NISAの枠を事実上拡大させることができ、その利益を親が享受するリスクがある。
第5は、子どもの資産格差を助長することだ。資金の余裕のある世帯では子どものNISA口座での投資を拡大させることができ、子どもが成長した時点で相応の資産を得ることができる。これが資産格差を固定してしまうとの指摘がある。「こどもNISA」では年間投資額の上限を60万円とし、「ジュニアNISA」の80万円から減額することでそうしたリスクの軽減が図られた可能性が考えられるが、なおリスクは残る。
第6は、子どもが資産を浪費してしまうリスクだ。子ども本人が18歳になると、運用管理は親などから本人に移る。その際に、子どもが資産を取り崩し、遊興費などで浪費してしまう恐れもある。そうしたリスクを減らすには、金融教育がしっかりとなされることが重要だ。
このように、「こどもNISA」には多くのメリットがあるとともに、デメリットも相応にある。親や祖父母は、デメリットに十分に配慮しつつ、子どもの資産形成にとって大きなメリットとなるように「こどもNISA」を利用することが求められる。
第2に、「ジュニアNISA」よりは改善したとはいえ、なお払い出しの制限がかなり厳しいことだ。12歳未満では、家庭の都合で自由に引き出すことはできない(3月31日時点で12歳になる年の1月1日以降から引き出せる)。災害や病気などやむを得ない事情なら例外となる可能性はあるが、家計の赤字や親の急な出費を埋めるための引き出しは認められない。
また12歳以降には引き出しは可能となるが、それも厳しい条件付きだ。使い道が子どものためであること、子どもが払い出しに同意したことを示す書面をそろえて、親権者などの口座管理者が金融機関に申出書を提出する必要がある。
条件を満たさずに資金を引き出すと、「ジュニアNISA」と同様に、「こどもNISA」の口座は廃止され、それまで非課税だった分配金や譲渡益にさかのぼって課税される場合があるようだ。
第3に、金融機関を変更できない。通常のNISAは年単位で金融機関を変えられるが、「こどもNISA」は一度口座を開くと原則変更は認められない。
第4に、子どものNISA口座を使って積み立てた資金を、親が使ってしまう可能性がある。このために払い出しの制限がかなり厳しくなっているが、それでもリスクは残る。子どものNISAを使って、NISAの枠を事実上拡大させることができ、その利益を親が享受するリスクがある。
第5は、子どもの資産格差を助長することだ。資金の余裕のある世帯では子どものNISA口座での投資を拡大させることができ、子どもが成長した時点で相応の資産を得ることができる。これが資産格差を固定してしまうとの指摘がある。「こどもNISA」では年間投資額の上限を60万円とし、「ジュニアNISA」の80万円から減額することでそうしたリスクの軽減が図られた可能性が考えられるが、なおリスクは残る。
第6は、子どもが資産を浪費してしまうリスクだ。子ども本人が18歳になると、運用管理は親などから本人に移る。その際に、子どもが資産を取り崩し、遊興費などで浪費してしまう恐れもある。そうしたリスクを減らすには、金融教育がしっかりとなされることが重要だ。
このように、「こどもNISA」には多くのメリットがあるとともに、デメリットも相応にある。親や祖父母は、デメリットに十分に配慮しつつ、子どもの資産形成にとって大きなメリットとなるように「こどもNISA」を利用することが求められる。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。