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支援額や対象範囲が示されないまま、法案審議が開始へ

10月5日に臨時国会が召集された。臨時国会に提出される法案には飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間8%から1%へ引き下げる関連法案が含まれる。
 
2027年度、2028年度については、食料品の消費税1%分(約6,000億円)の範囲で所得に応じた給付制度、「就業者負担軽減支援金」が先行実施される。しかし、消費税率引き下げの財源が示されていないのと同様に、「就業者負担軽減支援金」についても財源が示されていない。それに加えて、1人あたりの支援額や対象となる年収の下限・上限などについてもまだ決まっていない。制度の中核となるこうした点が決まっていない中で、臨時国会で法案が審議されるという異例の流れとなっている。
 
「就業者負担軽減支援金」を巡って、10月2日の自民党合同会議では、出席者から支援金の対象範囲や金額を具体的に示すべきだという指摘が出たが、法案自体は了承された。同日に経済同友会が提言を出し、制度に必要な金額(同会の想定は1.70兆円程度)を明らかにしたうえで、法案審議と合わせて財源確保の道筋を示すべきだと求めている。

財源は年末まで示されないのか

そうしたなか、前回のコラム(「就業者負担軽減支援金の基本設計と課題」、2026年9月30日)以降、追加で加わった情報を整理したい。
 
第1は、担当組織の新設だ。支援金の事務を担う「租税・社会保険料負担に関する総合調整本部」を内閣府に設置することが決まった。この本部が国と地方の調整を担うとみられている。
 
第2は、支給回数の確定である。消費税率が8%に戻る2029年度には2回に分けて給付し、2030年度以降は年1回の支給とされた。2029年は4月から秋まで増税が先行することから、秋の分の一部を4月に前倒しして年2回給付することになった。
 
第3は、対象者・金額の決め方だ。支給対象者や金額は、所得や子どもの数などを踏まえて政令で定めるとされた。法律ではなく政令で定めることで、金額は閣議決定で決められることになる。そのため、国会審議の段階では支援金の具体的な金額が示されない可能性が高い。
 
第4は、国と地方の費用負担割合である。支援金の費用は国が3分の2以上、残りを都道府県と市町村が半分ずつ負担することになった。
 
一方、財源については「特例公債(赤字国債)に頼らず、歳出・歳入全般の見直しにより確保する」としているのみで、具体策は何ら示されていない。歳出削減を財源の一部とする場合、その数字は2027年度政府予算案が固まる年末まで示されない可能性がある。
 
その間、財源が示されないまま法案の審議が進められるという異例の事態となる。これは、財政運営に関する金融市場の信頼を損なうものだ。

プロフィール

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    木内 登英

    金融ITイノベーション事業本部

    エグゼクティブ・エコノミスト

    

    1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。

※組織名、職名は現在と異なる場合があります。