物価上昇やイラン戦争などに有権者は反発
11月3日に実施される米中間選挙は、いよいよ終盤戦に入ってきた。共和党は民主党を上回る資金を選挙活動に投入しており、また、下院での選挙区割りも共和党に有利に働く。
それにもかかわらず、物価上昇や対イラン軍事行動などが有権者の反発を買い、選挙戦は民主党優位の展開が続いているように見える(コラム「2026年米国中間選挙展望:シナリオ別の経済政策と金融市場への影響」、2026年10月8日)。
トランプ大統領は2024年の大統領選挙で、物価高はバイデン政権の失策によるものと批判し、自身が政権を担えば、原油生産を拡大させることでガソリン価格を直ちに低下させると主張した。
しかし、2025年には輸入品に大規模に関税をかけたことが、物価の上昇を引き起こした。さらに2026年にはイランとの軍事衝突を受けて原油価格が上昇し、物価高を加速させてしまった。こうした物価高や対イラン政策への不満が、有権者の共和党離れにつながっているとの見方が広がっている。
それにもかかわらず、物価上昇や対イラン軍事行動などが有権者の反発を買い、選挙戦は民主党優位の展開が続いているように見える(コラム「2026年米国中間選挙展望:シナリオ別の経済政策と金融市場への影響」、2026年10月8日)。
トランプ大統領は2024年の大統領選挙で、物価高はバイデン政権の失策によるものと批判し、自身が政権を担えば、原油生産を拡大させることでガソリン価格を直ちに低下させると主張した。
しかし、2025年には輸入品に大規模に関税をかけたことが、物価の上昇を引き起こした。さらに2026年にはイランとの軍事衝突を受けて原油価格が上昇し、物価高を加速させてしまった。こうした物価高や対イラン政策への不満が、有権者の共和党離れにつながっているとの見方が広がっている。
下院の選挙区見直しは共和党に有利だが
2025年7月にトランプ大統領は共和党が支配する州に対し、2026年中間選挙に向けて共和党議席を増やすよう区割りの引き直しを呼びかけた。通常、選挙区の区割りの見直しは、10年に一度の国政選挙を踏まえて行われる。それは既に2021~2022年に行われていたが、政権の働きかけによって異例の時期に区割りの見直しが行われた。
実際には、テキサス、ミズーリ、ノースカロライナ、フロリダ、アラバマ、ルイジアナ、テネシーなどでは区割りが見直された一方、カリフォルニア、ユタでは民主党がトランプ政権への対抗措置として、民主党に有利となる方向で見直しが進められた。ただし全体的には、共和党が有利になる見直しとなった。
無党派の選挙分析機関クック・ポリティカル・リポートは、区割りの見直しは、共和党が下院で約5議席を純増させる程度にとどまるとの見通しを示している。また、共和党に有利な方向に区割りが見直されたノースカロライナ州では、それに対する反発から共和党支持者離れが生じ、候補者に不利に働いているとの指摘もある。
実際には、テキサス、ミズーリ、ノースカロライナ、フロリダ、アラバマ、ルイジアナ、テネシーなどでは区割りが見直された一方、カリフォルニア、ユタでは民主党がトランプ政権への対抗措置として、民主党に有利となる方向で見直しが進められた。ただし全体的には、共和党が有利になる見直しとなった。
無党派の選挙分析機関クック・ポリティカル・リポートは、区割りの見直しは、共和党が下院で約5議席を純増させる程度にとどまるとの見通しを示している。また、共和党に有利な方向に区割りが見直されたノースカロライナ州では、それに対する反発から共和党支持者離れが生じ、候補者に不利に働いているとの指摘もある。
民主党優位の展開が続くか
一方、共和党は、民主党に対する資金面での優位を生かし、全米の選挙戦に数億ドルを投じているとされる。広告追跡会社アドインパクトの新たなリポートによると、共和党系の広告主は上院選で激戦となっている8州――オハイオ、テキサス、メーン、ミシガン、アイオワ、アラスカ、ニューハンプシャー、カンザス――で、民主党系を約2億9,800万ドル上回る支出をしている。
それでも、資金投入が本格化して以降、注目度の高い選挙戦で世論調査に大きな変化は見られておらず、主要な上院選の情勢はおおむね変わっていない。
選挙区の区割り見直しや資金投入は共和党に有利に働くが、それだけでは共和党の劣勢を覆すほどではない、というのが多くの見方だろう。
クック・ポリティカル・リポートは最近、最も可能性の高い結果として、民主党が下院で9~19議席を純増させるとの見方を示した。共和党は現在219対214で下院の多数派を占めており、欠員が2議席ある。
上院では共和党は53対47の多数派を占めるが、クック・ポリティカル・リポートは、上院選で7州を「接戦」と分類している。そのうち6議席は現在共和党が保持している州であり、従来共和党が盤石と見られていた州でも接戦州に変わっている。上院でも共和党の苦戦は明らかなようだ。
(参考資料)
“Midterm Anxiety Mounts for GOP as Democrats Try to Expand Battleground(米中間選挙 不安高まる共和、激戦区拡大めざす民主)”, Wall Street Journal, October 15, 2026
それでも、資金投入が本格化して以降、注目度の高い選挙戦で世論調査に大きな変化は見られておらず、主要な上院選の情勢はおおむね変わっていない。
選挙区の区割り見直しや資金投入は共和党に有利に働くが、それだけでは共和党の劣勢を覆すほどではない、というのが多くの見方だろう。
クック・ポリティカル・リポートは最近、最も可能性の高い結果として、民主党が下院で9~19議席を純増させるとの見方を示した。共和党は現在219対214で下院の多数派を占めており、欠員が2議席ある。
上院では共和党は53対47の多数派を占めるが、クック・ポリティカル・リポートは、上院選で7州を「接戦」と分類している。そのうち6議席は現在共和党が保持している州であり、従来共和党が盤石と見られていた州でも接戦州に変わっている。上院でも共和党の苦戦は明らかなようだ。
(参考資料)
“Midterm Anxiety Mounts for GOP as Democrats Try to Expand Battleground(米中間選挙 不安高まる共和、激戦区拡大めざす民主)”, Wall Street Journal, October 15, 2026
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。