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最新のテクノロジーとトレンドを読み解きビジネスバリューを生み出す

NRI IT Solutions America パシフィック支社長 幸田 敏宏

次々に新しいITのトレンドやビジネスが誕生する、サンフランシスコ・ベイエリア。その最新技術のバリューを自らのスキルで読み解き、日本に向けて発信するのが、NRI IT Solutions Americaの幸田敏宏です。
日本企業全体に新たなバリューをもたらす情報の収集・分析・発信のために、幸田はさまざまな活動に取り組んでいます。

バイオテクノロジーからシステムエンジニアリングへ

幼少から生物に興味があり、当時脚光を浴びていたバイオテクノロジーを学べる大学に進学しました。生物工学の勉強はとても楽しく、大学院にも進み、合わせて6年間バイオテクノロジーを学び続けました。
専門性の高い分野で、他の大学とも交流が少なかったこともあり、就職活動を早めにスタートしました。今でこそインターンシップは一般的ですが、当時は新聞の「今日のコトバ」で紹介されるような新しい考え方でした。これは面白そうだと直感してNRIを含む4社でインターンを経験しました。
そんな時代にインターンにチャレンジする学生達ですから、新しいことに取り組む意欲が高い人ばかりで、自然と私も新しいビジネス、サービスを自分でつくりたいと考えるようになりました。
インターンでの体験から、NRIなら新しいことにチャレンジできると思い、入社を決めました。職種はテクニカルエンジニア。担当したのはシステム基盤です。
思い出に残っているのは、流通業界のお客様のネットスーパーのシステム基盤の設計・構築のプロジェクトです。リリース日が決まっていることから、プロジェクト開始からわずか3か月間でシステム基盤の設計を終える必要がありました。そのため、「人に頼らず主導する」ことが求められ、自分を信じて突き進むことの大切さを体験として学びました。プロジェクトも成功し、自信につながる転機となりました。

新しいサービス・価値を創りだす「NRI未来ガレージ」を主導

その後、新規事業企画室を経て人事部に異動し、人事・採用に5年間関わりました。社外の方々への会社紹介や、求める人材についての検討を通し、会社が従業員でできていることを実感するとともに、会社全体を俯瞰する視野を得ることができた、貴重な期間でした。
その後、再び現場に戻り「NRI未来ガレージ」を主導しました。NRI未来ガレージは、先端技術を活用し、お客様と共に新しいサービスやビジネス価値を創りだす活動です。例えば、JAL様とのプロジェクトでは、ホノルル空港での機体整備にGoogle Glassをハンズフリーのコミュニケーションデバイスとして活用するアイデアを検証しました。
このようなお客様との共創プロジェクトを数件担当させて頂いた後、今度はそのようなプロジェクトで活用する先端技術を探索するために、海外に赴任することとなりました。赴任先のサンフランシスコは、先端的なIT企業が日々新しい技術やビジネスに挑戦しており、先端技術やユースケースに日常的に触れられる刺激的な環境です。サンフランシスコ・ベイエリアの新しい技術やビジネスのトレンドを調査し、顧客企業とNRIの新たなビジネスに活用する企画を行うことが、次のミッションとなりました。

技術やトレンドの背景を読み解くことの重要性を確認

新しいITトレンドを素早くレポートするメディアは他にもあります。その中でもそのトレンドがなぜ注目されているのかを含め読み解くことを重視しています。
なぜなら、あるトレンドが注目される背景は、その土地に住んでいる人でないと分からないことがあるからです。分かりやすい例として小売業界のサービスに注目する場合、帰宅時に毎日のように近所のスーパーで買い物をする日本と、車でモールに乗り付け、週末にまとめて買い物をすますことが多い米国では、消費者の購買行動が違います。あたりまえではありますが、こうした背景を知ることなく、ソリューションやビジネスのトレンドを理解することは出来ません。トレンドの理解には、新たなビジネスを検討しているスタートアップの動向も欠かせません。サンフランシスコ・ベイエリアのエコシステムを形成する大学や、スタートアップのコミュニティ、アクセラレーターとも接点を持ち、情報を収集しています。
加えて、2017年9月から2018年3月まで、マサチューセッツ工科大学(MIT)Media Labに客員研究員として参加しました。MITは、情報技術関連の世界最高峰で、そこに集まるのは天才の卵ばかり。アカデミックな世界において、今後20年、50年というスパンで世に出てくると予測される技術やトレンドに触れることのできたことは、何ものにも代えがたい貴重な経験でした。

新しい技術を活用し日本企業にバリューを

私には、技術を技術として終わらせたくないという思いが強くあります。新しい技術が生まれたときには、その技術が生み出す価値を読み解き、日本に伝えていきたいと考えています。
例えば最近は、従業員のエンゲージメントを高める新たな視点である従業員体験価値(EX:Employee Experience)や、従業員の振る舞いを定量的に分析するPeople Analyticsに着目しています。HRTechに分類される技術ですが、長期的な視点で人材を育て、活躍させている日本企業にとっては、HRにとどまらない大きなメリットがあると考えるからです。日本をよく知る人間として、グローバルのソリューションを、ビジネス環境が異なる日本でどのように活用すべきか、検討を続けています。
加えて、自分以外の方々にこの土地に触れる機会を増やす活動にも取り組んでいます。例えばサンフランシスコに視察に訪れる方々のアテンドです。実体験を通じて何をすべきかを現地で考えてもらうことも大切だと考えるからです。また、特にスタートアップとの連携においては、日々変わる彼らのスピード感についていかなければなりません。日本とスタートアップとの間をつなぐプロジェクトを遂行できる人材を育てるために、日本企業向けにスタートアップのマインドセットを学ぶための人材育成プログラムも提供しています。

海外赴任をきっかけに、日本企業全体にバリューを出すこと、これに貢献することを意識するようになりました。日本にいるときは、日本という国、日本人、日本の企業を強く意識することはなかったのですが、いまは日本企業がもともとの良さを活かしながら、柔軟に変革していくことのお手伝いをしたいと思うようになりました。今後は、日本で培ってきた経験と、海外からの視点をうまく融合させ、お客様を支援していきたいと考えています。

幸田 敏宏

NRI IT Solutions America Pacific支社長

幸田 敏宏

Profile

2004年野村総合研究所に入社。 2016年5月より現所属企業に出向。 2017年9月から半年間、MIT Media Labの客員研究員。現在は先端ITの発掘とビジネス開発を担当。
専門はRetailTechなどリテールサービス動向、先端ITを活用した価値創造、企業間のオープン・イノベーションプロジェクトなど。

お問い合わせ

株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp