自動車メーカの視点
車両データを活用した新たな事業モデルの構築「コネクテッドサービス開発支援」
コネクテッド化の進展に伴い、新たな事業機会が登場。幅広い検討スコープから、自社のポジショニングとエコシステム構築が必要です。
2025年には、新車の7割以上がコネクテッド化。収集データの活用先は幅広い
センシング、通信、データ蓄積等のITコストの低下、更に、自動車におけるソフトウエアの重要性の高まりと、その保守・メンテナンスの必要性から、車両のコネクテッドが進展していきます。その結果、2025年にはグローバル市場の7割以上(販売台数ベース)が、コネクテッド化され、多くの車両データが収集されるようになります。
コネクテッド化により実現されるのは、自動運転やソフトウエアのアップデートといった、いわゆる自動車を“つくる領域”に閉じません。自動車保険やメンテナンスに代表される自動車アフター領域に加え、不動産や小売りなどの自動車以外の領域も対象になります。
必要とされるケイパビリティが多岐に渡り、他社との協業の必要性が高い
コネクテッドカー領域のステークホルダは、データを生み出す車両の製造販売に関わる自動車メーカー、部品サプライヤ、さらに通信を担う通信キャリア、活用先となる保険やメンテナンスの事業者等、多岐にわたります。
自動車メーカー、部品メーカーの立場から見ると、クラウドでのデータ解析や、自社が明るくない活用先業界の知見といった点が、事業化においてネックとなります。また、通信キャリアや活用先業界のプレイヤにとっては、馴染みの無い自動車業界への関与が必要となります。
そのため、自社にないケイパビリティ、知見を保有するプレイヤとの協業は避けて通れません。
■ コネクテッドサービス検討のスコープ
NRIは、コネクテッドサービスの初期構想からサービスの具体化、関連プレイヤとの協業交渉、PoCまで一気通貫で支援が可能です。
多業界の専門家を活用した構想策定~システムケイパビリティを生かしたPoC※
ステークホルダが多く、注目度も高い領域であるが故に、玉石混合のユースケースが多いのも事実です。さらに、萌芽期のユースケースも多いため、机上のフィージビリティスタディ(FS)に加え、PoC※によるより精緻なFSを踏まえた事業化の判断が必要となることも多くなります。
そのため、①数多あるユースケースから精度の高い机上検討で、事業の弾の絞り込み、具体化を行った上で、②必要に応じて他社を巻き込みながら、PoCによる詳細検証を行う、というプロセスを踏むこととなります。
NRIは、①では、自動車、特にコネクテッド領域と、活用先となる保険や小売り等の各業界それぞれについて専門的な知見を有するコンサルタントが協調してご支援することが可能です。②では、PoCの設計から実行までシステムやアナリティクスの専門性を持つチームと一体のご支援が可能です。
- PoC:Proof of Concept
ケース:コネクテッド領域への参入戦略策定~エコシステム構築を一貫して支援
NRIは、非自動車業界の日系企業A社に対して、コネクテッド領域への参入の初期構想から、サービス具体化を経て、パートナリングとの協業支援まで一貫してご支援しました。
初期構想策定、サービス具体化のフェーズでは、NRIが保有するユースケースのデータベースを基に、参入領域の洗い出し、絞り込みを行いました。その際には、関連する各業界に精通したコンサルタントをアサインすることで、活用先業界の知見を踏まえた、精度の高いフィージビリティスタディ、事業モデルの構築を行いました。
パートナー企業との協業支援のフェーズでは、両社のケイパビリティの棚卸し、展開するサービスの具体化、ブラッシュアップのためのワークショップのファシリテーション等、協業関係の深化に必要な支援を実施しました。
■ コネクテッドサービス開発における一気通貫の支援
増大するソフトウェア開発への対応力強化「ソフトウェア開発リソース調達支援」
ソフトウェア開発体制のあるべき姿の描出から、その体制構築のための実効性のあるリソース調達を支援します。
CASEの進展により、車両およびサーバにおける、IT・ソフトウェアの比率が急増
自動車業界におけるCASEの進展により、ソフトウェアへの依存が飛躍的に増大しています。
自動車の制御や様々なサービス提供のために、ソフトウェアの量が増えるだけでなく、質の面でも高度なソフトウェアが求められています。
CASEの実現には、AI(人工知能)やビッグデータ解析、高精細地図、緻密なフィードバック制御、使いやすいユーザインタフェース等が不可欠ですが、ここでは、高速プロセッサや特殊なセンサー情報、ならびに、高度な数学モデルを駆使した、技術難易度の高いソフトウェアを短期間で開発し続けることが求められるためです。
マルチリソースからの調達パスの構築が必要
IT機器の高度化や普及、家電のインテリジェント化など、自動車に限らず社会の全ての領域でソフトウェアの高度化が進展しています。
そのため、高度なソフトウェアを開発できるエンジニアが不足し、業界を超えて奪い合いが発生しています。
これまで技術者は社内で育成してきましたが、技術革新が速いソフトウェア領域においては、育成にかける時間がないだけではなく、社内にはもはや先端人材のおらず、育成を行うリーダー(指導者)すら不在という状況が見受けられます。
そのため、国内での人材調達は限界を迎えており、海外を含めた調達スキームの最適化、構築が必要となります。
■ 製品トレンドがもたらすソフトウェア人材不足の構造
事業戦略に沿った人材を確保を目指すだけでなく、全体パフォーマンスを重視し、拒否反応の起きないスキームを構築します。
自動車業界およびソフトウェア産業の動向を踏まえた人的リソースを確保。
各社の現状と事業戦略上の将来像のギャップから必要なリソースを算出することは比較的容易です。しかし、人的リソース確保が厳しくなっているソフトウェア産業全体の中で必要なリソースを確保していくには、確実な目利きと、離脱しない状況の構築がより重要になります。
つまり、どのような能力を持った企業や人材を、どのような処遇で確保していくのか、金銭面以外の面でどのように定着を図るのかなどの観点が必要となります。
NRIはシステムインテグレータとしても国内有数の規模で事業を行っており、ソフトウェア開発企業や所属する人材の評価や今後の動向についての知見を長年に渡り蓄積しております。
これらの知見を活かし、多面的な施策を組み合わせることで人的リソースの確保と維持を図ります。
ケース: 事情に応じた距離感を設定。拒否反応をおさえつつ段階的に関係を深化
NRIはあるソフトウェア開発企業の自動車向け開発リソース確保の支援を行いました。
既存事業のポートフォリオと今後の動向から内部調整可能な人的リソースを洗い出した上で、外部調達が必要なリソースの能力別人数を試算しました。
これに基づき、候補企業を抽出し、個別にアプローチを開始するのですが、単なる数合わせに終わらぬよう、企業理念や社風も考慮した上で、最適な連携の形を組み立てていきます。
ここでは、現時点での連携の形を描くだけではなく、パイロットプロジェクトとなる試作発注から、常駐派遣、業務提携、資本提携などの段階を描き、各社ごとに適切な距離感をとりつつ、徐々に関係性を深めていけるスキームを構築しました。
■ 有望企業の抽出と提携等の交渉に至るまでのフロー(イメージ)
CASEトレンドの下での新事業開発「産学官連携を活用した新事業開発・実行支援」
CASEトレンドの下で求められる黎明期の製品・サービスの新事業開発を、戦略策定から実行までご支援します。
既存事業とビジネスモデルの異なる黎明期の新事業開発が急務
自動車業界では、CASEトレンドにより、長期的に既存事業および周辺事業の付加価値が削られたり、場合によっては破壊される可能性に曝されたりしています(電動化による部品の付加価値減少/不必要化等)。
結果として、既存事業の延長線上での新事業開発だけでは、持続的な成長を描くのが難しくなってきました。
それゆえ、「CASEで生まれる新市場での新事業開発(自動運転領域・コネクテッド領域等)」、「自動車業界で培った能力を元に別業界での新事業開発(医療業界・エネルギー業界等)」が新たに求められるといえます。 これらにおいては、新市場ゆえ黎明期の製品・サービスを提供する必要があります。
黎明期の新事業開発を進める際には、社内外の多くの壁を超える必要あり
黎明期の新事業開発では多くの場合、①既存法規制による制約 ②エコシステムの未整備 という外部因子 ③現場層の納得感不足 ④経営層の納得感不足 という内部因子、更に⑤既存事業者の抵抗 という複合因子が壁となります。
これらの壁を越えるためには、その事業実現に少しでも適した国・地域で事業開発することが重要です。特定産業の育成に注力する新興国は、有望な候補地になりえます。一方で、ヒト・モノ・カネの補給の低減や、現地パートナーとの関係維持の困難さなど、新たな壁も生じてしまいます。
■ 黎明期の新事業開発における壁 / 新興国での新事業開発の利点
新事業開発の壁を認識した上で、適した国・地域において産官学を巻き込みながら、事業開発に伴走します。
産学官の枠組みを活用して、適した国・地域で新事業開発の壁を越える
これらの壁を越えるためには、産学官連携の活用が有効な解決策の1つとなりえます。
NRIは、各国・地域に根ざした現地拠点と連携することで、現地産学官を巻き込んだ新事業開発の全体戦略策定から、その交渉含む実行支援までご支援できます。
全体戦略策定では、人的ネットワークや対象国への深い知見に基づき、現地の産官学のニーズを立体的に捕らえ、WIN-WINとなる新事業の全体像を描きます。
交渉・実行支援では、多数の関係者の行動を促すPMO支援に加えて、現場に伴走することで、関係各者の言外の情報も踏まえた適切なコミュニケーションや日々現地で発生する問題への的確な対応をご支援します。
ケース:自動運転技術の事業化に向け新興国産学官連携を実行まで支援
NRIは、ある自動車部品メーカの自動運転関連新事業の立上げ支援を行いました。
全体戦略策定時には、対象事業の立上げに適した新興国の官の動向や、事業に関する分野の学の有力者を洗い出した上で、産学官連携の絵姿を描出しました。
交渉・実行支援時には、巻き込む対象各者の抱える背景や文化・ニーズを理解した上で、交渉シナリオや使用する資料の策定、交渉の現場に立ち会ってのコミュニケーション円滑化支援を行いました。
さらには、交渉支援にとどまらず、現地における協業活動やPOC準備に伴走し、日々発生するイレギュラーな状況への対処や報告を行って、実行推進力の維持に取り組みました。
■ NRIの産学官連携による新事業開発支援の特徴
クルマの知能化に伴うソフトウェア開発力の強化「開発アウトソーサー活用支援」
自動運転等のクルマの知能化によりソフトウェア開発が大規模・複雑化、より戦略的・効率的なソフトウェア開発が必要となります。
高度自動運転の実現に向け、自動車の開発は未知の領域に突入
近年、自動運転やコネクテッドカーといった、従来の自動車から非連続な変化を遂げた新しいクルマが自動車業界のみならず、社会全体を賑わせています。
こうした“クルマの知能化”をリードしているのは、従来の自動車メーカではなく、GoogleやTeslaといった、ITやソフトウェアを生業とする所謂シリコンバレー企業です。
新しいクルマの開発においては、AI(人工知能)や画像処理技術、コネクティビティ等の技術領域が重要であり、今後、自動車の付加価値がハードからソフトへとシフトすることが想定されます。
このような進化に伴い、クルマの開発は自動車メーカにとって未知の領域へと突入しています。
車載ソフトウェア開発の大規模・複雑化への対応が急務
自動運転では、これまでドライバーが行っていた、“認知・判断”といった機能を、車載コンピュータが代替します。この自動運転向けの車載コンピュータは、現在販売されている量産車の車載ソフトウェアの10倍以上の規模になることが予見されており、開発工数の更なる大規模化が進むとみられています。
これに従い、自動車メーカは、①事業の選択と集中、②開発効率化(共通化/工程見直し)、③開発リソース最適化(外部リソース活用/リソースの再配置)といった課題への対応を検討する必要があります。従来の開発の在り方を見直し、事業及び開発の方向性・リソース配置を改めて再定義することが急務となっています。
■ クルマの知能化に伴うソフトウェア開発の肥大化
NRIは、開発戦略の策定、業務プロセスの見直し、アウトソーサーの活用に至るまで、一気通貫でのご支援が可能です。
技術変化のうねりの前では聖域とされた開発でも外科的手術が必要
肥大化・複雑化したソフトウェア開発では、自社の注力領域と、効率化する領域を見極め、外部活用を含めリーンにまわしていくためのリソース戦略が必要です。
また、様々なシステム間での連携が必要となる自動運転では、制御アーキテクチャの複雑化により開発や検証に係る工数が肥大化してしまうリスクが存在します。そのためモデルベース開発の導入等で最適化された制御アーキテクチャを設計することも重要です。
さらに、先端スタートアップ企業との連携も重要課題となっています。それぞれの得意技を活かした開発の役割分担も求められ、自動車メーカとしての競争領域を改めて定義し直す必要性も出てきています。
上記は、多くの企業にとって、従来業務の延長線では実現が難しい課題です。技術変化のうねりに対応し、開発戦略・体制を大きく見直す時期が来ています。
ケース :インドへの開発アウトソース検討など、幅広くご支援
国内のエンジニアリソースの囲い込みは早晩限界を迎え、グローバル規模でのリソース確保は必須の状況です。
成長を続けるインド等のオフショア開発アウトソーサーの活用は、多くの日本企業が苦手としていましたが、使う側・使われる側、双方のノウハウが蓄積されたことで、活用の幅も広がりつつあります。
NRIは、製品・事業単位での開発委託、資本も絡めた戦略的アライアンス構築、および自社の開発子会社の見直しなどの支援を行いました。また、開発アウトソースにおいては、言語や開発文化のギャップを縮めることも重要です。NRIが初期トライアルを支援することで、スムースなリソースシフトを実現できました。
NRIはアウトソーシング戦略策定や、インド等のオフショアアウトソーサーの探索・評価、トライアル設計を通した導入支援において、多数のプロジェクト実績があります。
■ 「異次元リソースシフト」実現にむけたアウトソーサー活用
自動車メーカの川下サービス事業展開「PoC-Proof of Concept」*
自動車アフターマーケット市場は新車販売の約3.7倍の規模に。OEMとサービス事業者が業界の垣根を越えて競う構図になっています。
コネクティッドカーをはじめ、つながる技術の進歩により、川下のビジネス規模が拡大
コネクティッドカーの登場、車載インフォテイメントシステムの高機能化など、つながる技術の進歩によって、クルマから収集、配信できる情報の種類、量は、格段に増えています。また、データ通信料やクラウド利用料、センサーをはじめとしたデバイス単価が下がることで、大量のデータを活用しやすい環境が広がってきています。
それらの変化によって、自動車OEMは、従来の車両販売というハード売りから、自動運転、シェアリングプラットフォーム、テレマティックス保険、部品のリアルタイム故障予測など、ソフト面の強い川下の事業領域にリソースをシフトしています。NRIでは、アフターマーケット市場の規模は新車販売の約3.7倍になると見ています。
* Proof of Concept(概念実証)
OEMとサービス事業者の競争が激化する中、川下での勝ち方の検討が必要
一方で、規模の大きな川下の事業領域を巡っては、GoogleやApple、UberやGrabなどのサービス事業者も自動運転やシェアリング・プラットフォームの開発に積極的で
あり、自動車OEMとサービス事業者が業界の垣根を越えて競う構図ができています。
業界全体が自動運転、シェアリングなど、新たな自動車社会の実現に向けて歩みを加速させる中、高度なサービスモデルとそれを支えるデータ活用のノウハウを武器とするサービス事業者の存在はOEMにとって脅威です。一部のOEMは提携の道に舵を切っていますが、自前の顧客資産、データ資産を活用してどのように川下の領域を取り込んでいくかはOEMの検討課題となっています。
■ 自動車関連の年間小売市場規模(日本)
NRIは、コンサルティングとシステムソリューションを融合させ、自動車OEMのデータ活用戦略の策定からPoCまでご支援します。
コンサルティングとソリューションを融合させた「コンソリューション」でPoCを伴走支援
川下でカーシェアリングや故障予測などのデータを活用したサービスを展開する場合、自社または提携先企業の保有する大量のデータを解析し、アウトプットとして社内で活用可能なかたちにまとめるノウハウとリソースが必要です。
NRIは、コンサルティング部門とシステムソリューション部門が一枚岩となった「コンソリューション」の体制で、OEMの川下領域における戦略・ビジョン検討から、社内の分析課題を基にしたユースケースの詳細化、PoCのためのスモールスタート実行計画の策定、分析環境の構築、AIや機械学習を用いた分析代行、新サービスの事業計画の策定に必要なニーズ調査や市場規模推計まで、伴走型でプロジェクトをご支援します。
ケース : 新しいサービスメニューを創造し、データ分析のための環境も提供
NRIは、自動車OEM A社の全社横断的なデータ活用を推進する部門を伴走ご支援しました。グローバルな調査ネットワークを活かして、先進的なデータ活用の他社事例
調査を実施すると共に、アフターサービス部門をはじめ、技術開発部門や生産現場の声をききながら、新しいサービスメニューをA社と共同で立案しました。
また、実際にPoCをまわす部分では、NRIが提携するAmazon Web Services (AWS)をベースにクラウド上にセキュリティを担保した分析環境を構築しました。これによりA社は、各部門が保有する秘匿性の高いデータを外部に流出させずに、社外のデータサイエンティストを活用できる仕組みを整えることができました。
■ NRIの川下事業展開「PoC」サービスの特徴
AI/IoT時代のエコシステム構築「テクノロジーベンチャーの探索・評価支援」
AI/IoT時代には異業種やベンチャー企業とのエコシステム構築が重要になります。
自動車産業が対応すべき技術領域が広がっている
自動運転やコネクティッドサービスのために、クルマに求められる機能が大きく拡大しています。これらの機能を実現するためには、A(I 人工知能)や大規模ソフト開発、ビッグデータ解析、高精度デジタルマップなど、従来の自動車関連メーカがノウハウを保有していない領域の技術の重要度が増しています。
これらの技術には、In-Car領域(車内で使用される技術領域)だけでなく、Out-Car領域(車外で使用される技術領域)でも革新技術が登場しているため、自動車関連メーカはこれら技術への対応が求められてきます。
単独ではカバーしきれない領域では、異業種やベンチャーとの連携が求められる
対応すべき技術領域は極めて広いため、すべてを1社だけで実現できる企業はほとんどありません。また、AI/IoT時代に競争優位を確保するにはスピードがより重要になっています。したがって、自社だけでは実現が難しい領域では、自前主義を捨てて、異業種やベンチャー企業など他社との連携を迅速に進めることが重要となります。
異業種やベンチャー企業との連携は、自動車関連メーカにとって、当該企業が持つ技術の獲得だけでなく、スピード感のある経営や、自社単独では取り組みにくい高リスク開発を行なう機会の獲得にもつながります。
■ 自動運転・コネクテッド領域において対応が必要な技術
NRIは、お客様のニーズに合わせ、AI/IoTのコア技術を持つベンチャー企業を、スピーディに探索・評価いたします。
ベンチャー企業の探索から評価までトータルサポート
AI/IoT業界では、ベンチャー企業でもすぐに大きく成長する可能性があります。一方、資金力や人材の確保の問題で消滅するリスクや他の企業に買収されてしまうリスクもあります。したがって、ベンチャー企業を協業先として選定する際には、対象会社を多面的に評価し、迅速な意思決定をする必要があります。
NRIは、先進国だけではなく新興国においてもベンチャー企業をモニタリングする仕組みを構築し、産業構造やコア技術の関連企業を網羅的に把握するデータベースを構築しています。
単なるありきたりなリストを提供するのではなく、NRIは、技術の強みや人脈マップ、ステークホルダーの評価など、様々な視点で、クライアントのニーズに合わせて柔軟に企業評価を行うことができます。
ケース : AI/IoT技術を持つ協業先の評価支援
NRIには、自動車産業や機械産業などの複数の分野での成功事例があります。
例えば、自動車メーカによるAI関連の協業先評価では、信用情報などの公開情報収集だけでなく、協業候補企業関係者の人脈マップを作成した上で、ベンチャーキャピタルや候補企業の関係者へのインタビューなどにより、候補企業を多面的に評価しました。加えて、協業により得られるリターンと想定されるリスク、リスクを察知するために見ておくべきポイント、リスクの低減策を提示しました。約1か月という短期間のプロジェクトだったものの、スピーディに完了しました。
また、機械メーカのIoT戦略構築支援においては、各国・地域のIoTベンチャー企業の探索から提携交渉支援までを迅速に対応しました。
■ NRIのテクノロジーベンチャー評価の視点
不確実な時代における企業価値の再定義「ぶれないビジョンづくり」
自動車業界は2020年代にかけて100年に1度の転換点を迎える可能性があります。不確実な時代だからこそ「ぶれないビジョン」が必要です。
「CASE」*に代表される環境変化に伴い、これまでの勝ちパターンは通用しない時代に
2020年代にかけて、電動化やコネクテッドといった先進技術が、いよいよ市場に本格投入される時代に差し掛かります。自動車メーカにとっては競争戦略上、これらの動きに少なからず追随せざるを得ない状況です。
ただし、これらの技術・製品が主流となった際には、ともするとエンジン設計技術やすり合わせによるものづくりといった、特に日系自動車メーカが得意として取り込んできた付加価値は相対的に低下する可能性があります。
また、シェアリング・マッチング等の普及による新車市場の縮小や、ICTに精通した新興プレーヤの新規参入等により、大手自動車メーカにとっては、従来型の勝ちパターンでは戦っていけない時代に突入します。
* CASE: 自動車業界の4つの環境変化( Connected, Autonomous, Shared, Electric)の頭文字をとったもの
社会に対してどのような価値を提供する会社なのか、再点検すべきタイミング
環境変化を精緻に読みきることは極めて困難です。ただし、「環境が見通せるまで動かないで待つ」という選択をとってしまっては、リスクを負って当業界に参入してくる新興プレーヤに飲み込まれてしまうでしょう。
したがって、「動く」ことがまず第一歩となりますが、そこで重要なのが、いかなる環境変化が起こってもぶれないビジョンです。ビジョンを社内外に発信することで、求心力の向上や自発的に考える組織・風土の醸成、ならびに投資家との信頼関係構築につながります。
経営者にとっては、「どのようなモノ・サービスを生み出していくべきか」に加え、「社会に対しどんな貢献をしていく会社なのか」を見つめ直す絶好の機会とも捉えられます。
■ 2020年代における環境変化と経営への要請
NRIは、社会課題解決と、経営・事業戦略とを融合した企業ビジョンの策定支援、及び実行支援を実施いたします。
社会課題解決と事業戦略・経営戦略との融合が肝
「ぶれないビジョン」の策定にあたっては、「社会」が普遍的に抱えている課題を整理し、自社の強みや事業戦略と掛け合わせた上で、自社が解決したい社会課題を特定するステップで進めていくことが有効です。このプロセスにおける肝は、社会課題解決と事業戦略・経営戦略との融合です。
これまで企業活動において、CSRと事業戦略はある種別物と捉えられ、検討体・組織も分かれて進められることが多かったのですが、上記融合にあたっては、この両者をまさに融合して検討を進めていくことが求められます。
NRIでは、自動車業界の知見を持って、事業戦略の立案支援を専門とするコンサルタントと、CSR*1/CSV*2経営の専門コンサルタントとのコワークにより、ぶれないビジョンづくりや、中期経営計画やIR戦略などの立案を支援いたします。
*1 CSR: Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)
*2 CSV: Creating Shared Value(共通価値の創造)
ケース :統合レポートや中期経営計画策定時におけるビジョン策定支援
近年、日系の大手企業を中心に、統合レポートの発刊が増えております。統合レポートとは従来のAnnual Report等の財務報告書とCSR Report等の非財務報告書を一体化した投資家との新たな対話ツールで、昨今多くのグローバル企業で策定が進められております。
NRIでは、このような社会的要請や経営者からのニーズに応えるべく、統合レポートや中期経営計画策定時におけるビジョン作りに必要な知見を長期にわたって蓄えてきました。
また、ビジョン策定プロジェクトにおいては、社会貢献領域や目指す姿の設定にとどまらず、それらを起点とした事業戦略・中期経営計画への落とし込みや、作られたビジョンの社内外への発信・浸透活動支援を数多く実施してきました。