コンサルティング領域
NRIのサステナビリティ・コンサルティング
昨今、サステナビリティを重視した社会への転換が加速しています。経営の観点からも、従来の企業経営のあり方を問い直す「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」として、その重要性の認識が広まりつつあります。
企業がサステナビリティに着目することは、環境・社会に関する外部環境の変化を捉え、経営基盤を強化するとともに、より長期の視点に立って成長戦略を考えるきっかけとなります。既に多くの企業が、非財務の取り組みや無形資産の価値を改めて見直すことで、財務・非財務を一体的に戦略の中で取り込んでいます。また、資本市場もこうした変化へ適切に対応している企業を評価していく動きが広まっています。
経営・事業とサステナビリティの統合を支援
サステナビリティ経営がカバーするスコープは、今後ますます広がり、経営・事業の多様な領域に大きな影響を及ぼします。推進にあたっては、単一組織での対応ではなく経営トップから従業員一人ひとりまで、機能部門のみならず事業部門まで、そして、国内のみならずグローバルレベルまでの対応が求められるようになります。 NRIは経営・事業とサステナビリティの統合に向けて、さまざまなスコープのなかから取組み優先度の高い課題を見極め、持続的成長に向けた効果的・効率的なロードマップを描きます。
“持続可能性”と“業種・業界”の双方の知見を結集し、より効果的な助言を実現
サステナビリテ経営を経営成果につなげるためには、経営・事業との融合的な戦略策定と実行が必要です。 効果的な検討に向けて、持続可能性に関する専門的知見に加えて、業種・業界特性を考慮することが求めら れます。NRIは、サステナビリティサービスを手がけるコンサルタントと業種専門性を持つコンサルタントが連携し、ク ライアントへのより効果的な助言を実現します。
最新動向を踏まえて、中長期の対応を見据えた方針策定を支援
サステナビリティ経営の動向は急速なスピードで更新されていきます。NRIでは、国際機関や国内政府とのやりとり、様々な専門家とのネットワークを有し、日頃からサステナビリティの最新動向が取得できる体制を整えています。
企業・組織の存在意義を再定義し、共通の価値観を浸透させるパーパス(Purpose)コンサルティング
グローバル化の進展やサステナビリティ経営の大きな潮流、事業環境の不確実性の高まりなどのなかで、戦略の効果的
遂行に向けて組織を束ねる“求心力”の重要性が増しています。
企業・組織や社員一人ひとりが“社会における存在意義”━パーパス(Purpose)を見つめなおし、再定義し、共有・共鳴する環境を用意することで、企業は戦略実現に向けて大きな力を得ることができます。NRIは、企業・組織の存在意義を再定義し、共通の価値観を浸透させるパーパス(Purpose)コンサルティングでクライアントをサポートします。
ステークホルダーが共感・共鳴できるパーパスを経営の機軸に据えることで、戦略遂行を加速
“企業の社会的存在”に対する社会からの期待、サステナビリティへの感度が高い”ミレニアル世代の存在”、組織を束ねる“求心力”の重要性の高まりなどを背景に、「社会における存在」としての企業がより強く意識されるようになっています。
社内外のステークホルダーが共感・共鳴できる共通の価値観や考え方=パーパスを機軸におき、経営・事業の推進やコミュニケーションを図ることによって、ステークホルダーからの信頼や共感を高めることができます。戦略遂行を担う従業員の観点からも組織の求心力を高め、働く意義や誇りを感じやすくなるなどの効果が見込め、結果、戦略の遂行を加速させることが可能となります。
※パーパス(Purpose)…その企業や組織が「なぜ、何のために存在するのか」という社会における確固たる存在意義を指します。
長期的成長を展望し“、ビジョン・経営計画”に社会価値を組み込み統合させる戦略コンサルティング
多くの日本企業で持続的成長に向けた「サステナビリティを考慮した経営」へと舵切りする機運が高まっています。ビジョンや経営計画、あるいは事業戦略の中核にサステナビリティの要素を取り込み、その概念を統合する動きも活発化しています。サステナビリティ経営の潮流は、近い将来、企業経営のオペレーション領域に対してもさまざまな変化や影響をもたらします。しかし、企業や業種・業態によりその対応は異なります。
NRI
は、企業のサステナビリティ戦略の中核となる、“ビジョン・経営計画への社会価値の組み込み”から“企業のオペレーション領域”に至るまで、サステナビリティ要素の経営・事業への融合に向けた戦略コンサルティングを通じてクライアントの持続的成長をサポートします。
サステナビリティの概念を経営の根幹に組み込み、“持続可能な経営の枠組み”を構築
日本企業では、サステナビリティ経営の前身となる概念として、従来のCSR(企業の社会的責任)があげられますが、サステナビリティ経営は、将来の経営・事業のオペレーション領域への関与度を考慮すると、従来のCSR
概念とは戦略構築の手法や実行の方法論が大きく異なるものです。推進組織のミッション・位置づけも再考が求められるでしょう。
このように、サステナビリティ経営は、将来の経営・事業のあり方そのものを問う流れとなっています。サステナビリティの概念を「経営の枠組み」に組み込むことで、将来成長に向けたより「持続可能な経営の枠組み」を得ることができます。確実な経営成果獲得のためには、持続的成長に有効な重要課題を特定し、企業経営の中核となるビジョン・経営計画に組み込むことが第一
歩となります。
より効果的かつ持続可能な活動を目指したマテリアリティ・価値創造ストーリー構築に向けた戦略コンサルティング
近年、日本企業においても統合報告への関心が高まるとともに、多くの企業がマテリアリティ(=意思決定に重大な影響を及ぼす社会的重要課題)の設定や、これらへの対処を含む価値創造ストーリの構築について検討に着手しています。
しかしながら、機能・事業部門の巻き込みが不十分な企業では、当該企業の“らしさ・独自性”が設定・発信できない、または、マテリアリティや価値創造ストーリーを設定したものの、機能・事業部門の協力が得られず“実効性が乏しい
マテリアリティ”に留まるといった問題意識を抱えるケースが見られます。
NRIは、幅広い業種・業界分野における戦略策定の知見を有効に活用し、貴社の事業発展と社会動向の展望の双方を見据えた戦略的観点からのマテリアリティ設定・価値創造ストーリー構築のコンサルティングでクライアントをサポートいたします。
マテリアリティ設定・価値創造ストーリーの設定・構築プロセスの提案から実行までを一貫して伴走
機能・事業と融合したマテリアリティ設定を実現するため、NRIでは独自の検討フレームを構築し、機能・事業を切り分けたマテリアリティ設定プロセスを有しています。実効性の高い真のマテリアリティ設定や統合報告における開示を意図した価値創造ストーリーの構築には、機能・事業部門の巻き込みが欠かせません。
NRIは、マテリアリティと価値創造ストーリーを将来成長に向けた極めて重要な要素と位置づけ、マテリアリティ設定や価値創造ストーリー構築において、関係部門の巻き込みや組織横断連携など、社会への浸透も意図したプロセスを提案し、これの実行を伴走します。
“真の統合思考”に基づくステークホルダーへのレポーティングを実現する統合報告コンサルティング
日本では、統合報告書の発行数が年々増加し、統合報告へ移行する企業や、報告内容の高度化が図られるようになっています。統合報告の真の狙いは、“
企業における統合思考、すなわち財務・非財務資本が企業経営と組み合わさることで長期的にどのような価値が生まれるのかをストーリーとして認識すること”
※とされています。つまり、自社が『長期的に価値を創造し続ける能力を持つ』ということを投資家に明確にかつ効果的に伝える必要があるのです。
日本企業のなかには、未だ財務・非財務のつながりが十分に整理・体系化されておらず、統合報告以前に統合思考自体が形成されていないといった問題がよく見られます。NRIは、“真の統合思考”に基づく統合報告の実現を目指し、クライアントを強力にサポートします。
- IIRC(International Integrated Reporting Council)に基づく
社会への提供価値の抽出、非財務活動の価値創造に向けた結びつきを導出
統合思考を表現するためには、財務情報と非財務情報の結合性を明確にすることが必要となります。望ましい統合報告のためには、投資家に対して、自社の価値創造を適切に伝えるストーリーを構築することが重要です。
実行段階では、社会への提供価値の抽出・特定や、非財務活動の価値創造に向けた結びつきを検討し、報告書へと落とし込みます。統合報告書制作会社等との連携により、冊子化に向けたデザイン検討を含めたサポートも可能です。
ESG評価機関やステークホルダーに対する効果的な情報開示を実現するESGコンサルティング
近年、ESG投資の機運が高まりを見せています。日本は、ESG投資が先行している欧州と比べると、未だ発展途上ですが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2017年にESG指数を選定、同指数に連動したパッシブ運用を開始したことにより、その注目度は確実に上昇しています。投資家をはじめとしたステークホルダーに対して、より効果的に自社の現状を開示・伝達することが喫緊の課題となっています。
一方、企業が開示を求められるESG情報は広範囲にわたっており、すべての情報を完璧に開示することは困難を極めます。NRIは、企業の効果的なESG情報開示に向けたコンサルティングでクライアントをサポートします。
ライセンスを保有するESG評価指数のデータベースに基づく独自の分析・評価プロセスを活用
広範囲のESG情報への効果的対応を実現するためには、現状水準の把握と優先課題の特定が必要となります。NRIは、ライセンスを独自に取得したESG評価指数のデータベースに基づき、①業界・国特有の求められる対応、②他社と比較した自社の立ち位置、③今後の優先的課題を整理し、分析・評価することで、クライアントにとって望ましいアプローチとアクションプランを共に検討します。実行段階では、評価スコアの向上を実現するための施策立案や、ESG情報開示の効率性を高めるためのアドバイスを含めたアクションプランの策定と、その遂行に向けた伴走型支援を行います。
サプライチェーン上のリスク対応と機会創出に向けた戦略コンサルティング
サプライチェーン上で意図せず発生する持続可能性に関わるさまざまなリスクへの対応が喫緊の課題となっています。世界中に広がるサプライチェーン網でいつ起こるか分からない問題は、日本企業にとっても、もはや他人事ではありません。人権・環境をはじめとする社会責任への対応が不十分であると、経営の根幹を揺るがす事象に発展するリスクを抱えていることになります。
一方、企業がサプライチェーン上のすべてのリスクに完璧に対応することは困難を極めます。サプライチェーン上のリスクと機会の両面に着目し、持続可能なサプライチェーンの構築に向けて解くべき優先課題を特定する必要があります。NRIは、サプライチェーン上のリスク対応と機会創出に向けた戦略コンサルティングでクライアントをサポートします。
リスクと機会の両面に着目し、持続可能なサプライチェーンの構築に向けて解くべき優先課題を特定
サプライチェーン上のリスクに効果的に対応するためには、現状水準の把握と優先課題の特定が必要となり ます。NRIは、独自のフレームワークに基づき、優先的に取り組むテーマ、取引先、資材、展開国等を分析することで、クライアントにとって望ましいアプローチとアクションプランを共に検討します。実行段階では、サプライヤーへのアプローチを含め、アクションプランの遂行を伴走します。
TCFD ※提言に沿った情報開示及び気候変動に対する戦略の策定・強化に向けたコンサルティング
気候変動に対する戦略・リスク管理計画の不在が企業にとって大きなリスクとなってきています。
TCFD
は、企業に対して、気候変動が事業に及ぼす影響を2℃シナリオ等の複数のシナリオを活用して分析することを求めています。企業は、この分析をもとに機会獲得やリスク
管理のための戦略を策定し、気候変動への対応やレジリエンスを説明することが必要となりますが、このようなシナリオを活用した気候変動の影響分析や戦略策定を過去に行ってきた企業は限られています。
そこでNRIは、各企業が求めるレベルに合わせて、TCFDに沿った機会・リスクの特定、シナリオ分析、そして上記を踏まえた気候変動に対する戦略の策定・強化の各側面でクライアントをサポートいたします。
※TCFD…気候変動関連財務情報開示タスクフォース
事業に影響を与える気候変動の事象の特定からシナリオ分析、気候変動に対する戦略の強化まで一貫して伴走
TCFD対応を通じて気候変動に対するレジリエンスを高めるためのコンサルティングサービスを提供いたします。まず、事業の「リスク」や「機会」につながると想定される気候変動の事象を特定します。「リスク」や「機会」、気候変動の事象の特定には気候変動に関する知見に加え、自社のみならず顧客等からの影響を考慮するための事業に関する理解も必要になります。特定した「リスク」や「機会」、気候変動の事象を踏まえ、シナリオ分析を行い、「リスク」や「機会」の影響の大きさを検討します。なお、シナリオについては、特定した気候変動の事象を踏まえ、IEA ※やIPCC ※を参考に作成いたします。その後、「リスク」を抑制し、「機会」を獲得するための気候変動に対する戦略の策定を行います。
※IEA……国際エネルギー機関
※IPCC…気候変動に関する国家間パネル
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