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NRI トップ サステナビリティ NRIグループの環境への取り組み TCFD最終提言に対する取組み

取り組み(環境)

TCFD最終提言に対する取組み

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NRIにおけるTCFD最終提言に対する取組み

NRIグループは、サステナビリティ経営の価値共創を支える経営基盤としての取組みを推進する「サステナビリティ推進委員会」を設置し、サステナビリティ経営に関する取組みを進めています。
NRIグループは、主にデータセンターの利用により多くの電力を消費していることから気候変動問題を重要視しており、2018年7月にTCFD※1 最終提言(以下「TCFD」という。)に対する支持を表明し、TCFDフレームワークに基づいた適切な情報開示を進めています。コンサルティング事業本部の専門家とともにサステナビリティ推進委員会で議論を重ね、2018年度から毎年ESG説明会※2において進捗状況を公表しております。
2018年度は、NRIグループ事業の全体でのリスクと機会の特定を行いました。2019年度は、気候変動の影響を受けやすい事業としてデータセンター事業を対象にシナリオ分析を行い、財務的インパクトを算定しました。2020年度は、収益部門として、金融ITソリューション事業の中の資産運用ソリューション事業とコンサルティング事業を対象にシナリオ分析を行い、財務的インパクトを算定しました。

想定される各事業への影響(機会とリスク)

TCFD最終提言への支持表明後、初年度である2018年度は検討スコープの設定、シナリオ※3の定義・特定を行った後に、パリ協定で合意された2℃未満に気温上昇を抑える「2℃未満シナリオ」と現在想定されている以外の対策が実行されない「4℃シナリオ」における影響を「コンサルティング」「金融ITソリューション」「産業ITソリューション」「データセンター」の事業分野毎に特定しました。

データセンター事業を対象としたシナリオ分析

2019年度は、2018年度に特定したリスクと機会の中でも、最も気候変動の影響が大きいデータセンター事業を対象に、シナリオ分析を行ないました。
シナリオの定義・特定については、対象期間を2030年以降の中長期とし、「2℃未満シナリオ」と「4℃シナリオ」の2つを設定しました。シナリオ分析の対象の選定では、「2℃未満シナリオ」、「4℃シナリオ」それぞれの事業インパクト評価のために、シナリオ分析の対象を選定しました。最終的に各シナリオにおけるデータセンター事業への影響を評価しました。

【2℃未満シナリオにおける影響の評価】

2℃未満シナリオでは、炭素税や再生可能エネルギーの導入による影響を調査するため、ベースライン、ケース1、ケース2の状況を想定してそれぞれの財務的影響を評価しました。ベースラインでは、炭素税(75~100$/t-CO2)が導入されたことにより、電気代が2018年比で21~28%上昇した世界において、当社として再生可能エネルギーを調達しなかった場合を想定しております。これに対してケース1は中間目標として掲げている2030年度までに再生可能エネルギー調達比率36%を達成した場合を想定いたしました。ケース2ではケース1と同じ条件で、かつ再エネ調達価格※4が下落した世界を想定しております。
結果、2℃未満シナリオでは、再エネ調達目標達成により、炭素税導入の影響緩和が可能であることがわかりました(下記図、ケース1とケース2「ベースラインとの差額」参照)。
現在、再生可能エネルギーの調達に向けた検討を進めています。2030年及び2050年を見据えて長期的かつ安定的に調達できる方法を模索しています。

【4℃シナリオにおける影響の評価】

4℃シナリオでは、データセンターの設備が受ける自然災害からの影響を調査するため、データセンター周辺の洪水、土砂災害リスクをハザードマップ等で分析して、影響は小さいと評価しました。尚、データセンターでは、想定されるリスクに対しての対応策も講じています。

資産運用ソリューション事業を対象としたシナリオ分析

2020年度は、金融ITソリューション事業の中の資産運用ソリューション事業を対象にシナリオ分析を行ないました。

【ビジネスモデルの分析】

資産運用ソリューション事業におけるリスクと機会を特定するために、まず、資産運用ソリューション事業のビジネスモデルの分析を行いました。資産運用ソリューション事業は、資産運用サービス、投資情報サービス、BPOサービスに大別されます。この3つのサービスと気候変動の事象に影響を受けると想定される収益の変動要因の関係を調べました。下図は、その関係を示したものです。資産運用サービスでは、顧客企業の資産残高が最も影響を及ぼすことが分かりました。つまり、顧客企業の資産残高が増えれば、NRIの収益は上がり、顧客企業の資産残高が減れば、NRIの収益が減るというビジネスモデルになっています。投資情報サービスでは、投資家が必要とする情報量が最も影響を及ぼすことが分かりました。

【リスクと機会の分析】

次にリスクと機会の分析を行いました。6つの気候関連の事象をおいて、顧客企業で想定される変化と各サービスへの影響を調べて、NRIとしてリスクと機会のどちらがあるかを分析しました。下図はその結果を示したものです。

ESGの情報開示などが進むことで、全体的には機会があると想定しました。想定される変化に関しては、顧客企業の経営層などへのヒアリングも行い、裏付けを取っています。

【財務的インパクトの算定】

次に顧客企業における想定される変化から、収益の変動要因の変化を予測して6つの事象ごとに財務的インパクトを算定しました。下図は、その算出方法を示したものです。

上図の算出方法と各シナリオでの想定内容に基づき、各事象で財務的インパクトの算定方法を導き、算定しました。
例えば、①のカーボンプライス(炭素税の導入等)や新技術に対する補助金等は、企業の競争力や企業価値の変化を通じて資産残高に影響を与えます。この資産残高への影響は、資産運用サービス事業の収益に影響を与えることから、回帰分析によって顧客企業の資産残高とNRIの資産運用サービスの収益の相関係数を求め、「2℃シナリオ」「3~4℃シナリオ」による資産残高の変化を予測すれば、資産運用サービスの収益の変化を導くことが出来ます。
「2℃シナリオ」「3~4℃シナリオ」による株式資産残高の変化の予測は、2020年8月に公開されたGPIFの「ESG活動報告」に掲載された気候がポートフォリオ全体の企業価値に与える影響を示す変動率から求めました。
②の事象以降においても、同様に算定方法を導き、財務的インパクトを算定しました。
財務的インパクトを収益の変化で表し、炭素税などの導入、開示強化、ESG投資への関心増加、自然災害の激甚化の4つにまとめたものが下図となります。

上図によると、2℃未満シナリオでは、売上増加の影響が相対的に大きくなりますが、3~4℃シナリオでは売上減少の影響が大きくなることが分かりました。

コンサルティング事業を対象としたシナリオ分析

2020年度は、コンサルティング事業を対象にシナリオ分析を行ないました。

【リスクと機会の分析】

コンサルティング事業におけるリスクと機会の分析を行いました。その結果を下図に示します。

気候変動により、サステナビリティ関連のコンサルティングのニーズは高まる一方で、脱炭素化への移行の失敗や自然災害の激甚化による景気の停滞が発生した場合は、事業に対するリスクも大きいことが分かりました。

【コンサルティング事業における機会】

コンサルティングの機会については、現在のサステナビリティ関連事業の実績から、今後の予想を行いました。下図がその予想結果となります。

2℃未満シナリオの方が、3~4℃シナリオよりもコンサルティングニーズが高まり、売上が増加することが分かりました。

【コンサルティング事業におけるリスク】

コンサルティングのリスクについては、世界が脱炭素化に向けた移行に失敗した場合、自然災害の激甚化が生じ、景気の悪化が生じます。景気の悪化による影響は、リーマンショックと同じような影響を受けると想定して、売上でマイナス12.1%の影響があると算定しました。

  • ※1  

    TCFD:世界主要25カ国の財務省、金融規制当局、中央銀行総裁が参加メンバーとなっている金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース」( Task Force on Climate-related Financial Disclosures)。企業に投資家が適切な投資判断を行うための気候関連の財務情報を主要な年次報告書等で開示することを提言しており、その内容として、気候変動が企業に及ぼすリスクに関するガバナンス、戦略、リスク管理など4項目について開示を求めている。

  • ※2  

    ESG説明会:NRIグループのサステナビリティ経営と具体的なESGに対する取組みについて、投資家やアナリスト、メディアの方に理解していただくことを目的とした「ESG説明会」を開催している。
    ウェブサイト(https://www.nri.com/jp/sustainability/management/esg/2018)参照

  • ※3  

    シナリオ:TCFDで推奨されている「シナリオ分析」(気候変動が将来、自社の事業に及ぼし得る影響の分析)を指す。NRIグループでは、「2℃未満シナリオ」については、IEA(国際エネルギー機関:International Energy Agency)が公表しているWorld Energy Outlook2018(世界エネルギー展望2018)におけるSustainable Development ScenarioとIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル:Intergovernmental Panel on Climate Change)におけるRCP(代表濃度経路シナリオ:Representative Concentration Pathways)2.6(低位安定化シナリオ)を採用、さらに1.5℃特別報告書(SR1.5)を補足的に使用している。「4℃シナリオ」についてはIPCCにおけるRCP8.5(高位参照シナリオ)を採用している。

  • ※4  

    再生可能エネルギー調達価格:本シナリオ分析において再生可能エネルギー調達価格は、現在と同水準の価格が継続される場合(ケース1)と2030年に向けて下落していく場合(ケース2)の2種類を用いている。現在と同水準の価格とは、従来の電気料金に+4円上乗せされた金額としている。

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