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ニューノーマルで居住地選択は変わるのか

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新型コロナウイルス感染症に伴う二度の緊急事態宣言で、私たちの働き方は大きく変わりました。テレワークによりオフィスへの出社の頻度が大幅に減った人も多いでしょう。
これまで日本では大都市圏、特に東京への一極集中が進み、また職住接近として都心部に住むことがトレンドとなっていました。しかし、働く場所の制約が緩やかになりつつある中で、より自然豊かで、生活コストの低いエリアに移住する人も増えているようです。また、社員の地方移住を支援する企業も出てきました。
果たして、この変化はより大きなものとなっていくのでしょうか。

以前から関心は高いものの、実施している人が少ない地方移住・二地域居住

地方への移住や、都市と地方の二地域居住は、2010年代に提唱された地方創生の一貫として、以前から注目をうけてきました。これまでの調査によると、このような居住地選択や住まい方に興味を持つ人も一定数おり、アンケートにもよりますが、おおむね全体の3割~4割程度の人が、興味・関心があるという結果となっています。
ただし、実際には、「地方で仕事が見つかるかわからない」、「通勤・通学に不便」といった理由で、地方移住や二地域居住に踏み切る人はごく少数であり、「興味はあるが、現実的にはなかなか難しい」という受け止められ方をしていました。

現状では住宅取得を機とした、大都市近郊への移住が多い

ですが、この度のコロナ禍によるテレワークの定着で、情報通信等の一部の業種ではオフィスに毎日通勤する必要がなくなり、地方移住や二地域居住の現実味が増しています。事実、東京からの移住という観点では、30代の転出が増えており、その移住先は埼玉、千葉、神奈川等の東京近郊が多いようです(2019-2020年の政府統計比較より)。
この年代は住宅を取得することが多いタイミングということも踏まえると、「オフィスには毎日行く必要がなくなったので、住宅購入のタイミングで、より広い家を持てる東京通勤圏の近郊都市に住む」という選択をする人が増えていると考えられます。逆に言えば、現状では大都市圏の中での移住は増えているものの、それ以外のエリア、例えば北海道や沖縄といった遠方への移住はまだ限定的のようです。

デジタル化の進展でどこにでも住める未来は来るか

これは、テレワークが定着しても、一定程度、オフィスでの業務や対面の打ち合わせが必要だというのが多くの企業の見方であり、社員も思い切った遠方への移住がしにくいためです。現状の情報通信技術では、対面での環境を再現するに至らず、社員同士のおしゃべりから生まれるアイデア創出や、連帯感の醸成に課題があります。そのため、今後もオフィス勤務とテレワークを組み合わせていくという企業が多いとみられています。
しかし、情報通信技術の発展によって、それらの課題もいずれ解決されると考えられます。現に、3Dホログラムによって、あたかもテレワーカーがオフィスで隣にいるかのような状況を再現する技術の開発に取り組む企業もあります。数年後には、北海道や沖縄、さらには海外と、自分の好きな場所に住みながら、東京の企業で働く、そんなライフスタイルを選択できる社会が来るのではないでしょうか。

執筆者


溝口 卓弥

溝口 卓弥

グローバルインフラコンサルティング部


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