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観客数の制限によるオリンピックへの影響

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2021/07/01

新型コロナウイルス感染拡大の影響で1年間の延期を余儀なくされていた東京オリンピック・パラリンピックが、いよいよ7月23日に開幕しそうです。
筆者は個人的に、2008年の北京大会以降、ほぼ毎回オリンピックを観戦に行ってきたオリンピックファンですので、無事に開催されるであろうことは前向きに捉えています。そのため、入場制限があってフルスタンドにならないことについては、この状況下で致し方ないこととはいえ、若干残念ではあります。

観客の存在はホームチームに有利

今回の東京オリンピックでは観客の上限が1万人かつ定員の50%以内となりましたが(2021年7月1日現在)、観客が少なくなることによりスポーツの試合そのものはどういった影響を受けるのでしょうか。
サッカーやバスケットボールなどのスポーツの試合では、ホームチームのほうがアウェイチームよりも有利だとする「ホームアドバンテージ」がかねて指摘されてきました。この要因として、ホームチームの方が会場に習熟していること、移動が少ないことなどの影響は小さく、むしろ、ホームチームを応援する観客の存在が大きな影響を与えているということが国内外の研究で分かっています。観客の声援の後押しを受けてホームチームのシュート数が統計学的にも有意に増えるという研究成果もありますが、勝敗への貢献という観点ではシュート数の増加よりも、多くの観客の圧力を感じて審判が無意識のうちにホームチームに有利な判定を行うことの影響が大きいようです。実際に、コロナ禍での無観客試合では、元々ホームチームに比べて多かったアウェイチームへの警告や退場処分が減少し、ほとんど変わらない水準になっていると言われます。

ホームアドバンテージの低下で開催国のメリットも限定的になるか?

開催国には、ホームである地の利も生かして多くのメダルが期待されるところですが、観客が少なくなることでそのメリットが限定的になるのは避けられないでしょう。とはいえ、海外からの一般観戦者は一切観客席に入れないので、少ないとは言っても開催国の観客だけが会場にいることが開催国の選手にプラスに働くかもしれませんし、大声で応援できないなら大した効果にならないかもしれません。いずれにせよ東京では、フェアで素晴らしいオリンピック・パラリンピックの試合が開催されることを期待したいところです。

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