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「DX相談ルーム」

ビジネスモデル変革を目指すDXのポイント:デジタル戦略編 (4)

2022/08/09

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ビジネスモデルの変革は、企業が直面している大きな課題です。デジタルの新規ビジネスとアナログのそれは何が違うのか、どのような変革が必要なのか?第4回目では、ビジネスモデル変革を目指すDX推進のポイントをお伝えします。

連載「DX相談ルーム」では、DX推進担当者と、そこに伴走するNRIのシステムコンサルタントの対話を通じて、DXに関して、多くの方が抱く悩みや疑問にお答えしていきます。
※ DX推進担当者は架空の人物です

話し手:コンサルタント 松延 智彦
1997年銀行系シンクタンクへ入社後、大手システムインテグレータを経て、2004年NRIに入社。ITマネジメントコンサルティング部にてIT組織改革、IT戦略策定、ITガバナンス確立、ITサービスマネジメント改善、情報子会社改革等を数多く手がけるとともに、企業のデジタル変革に向けたコンサルティングや情報発信を行う。

ビジネスモデル変革を目指す際の考え方は?

DX推進担当者
新たなビジネスモデルを考えろとトップから指示が出ているのですが、経験もなく、一体、どこから手をつければいいのでしょうか?

松延
大前提として関係者間で共有しておくべきなのは、一発必中で成功するようなものは無いという、ある意味、当たり前のことです。

DX推進担当者
そうですよね。その前提に立ったときに、すべきことは何でしょうか?

松延
勿論、「成功する」ということを前提に新たなビジネスへの投資意思決定を行うのですが、「成功」に至るまでの過程では多くの「失敗」、つまり仮説を作り、検証し、軌道修正する過程があります。その前提で、それが「良い失敗」だったのかどうかを細かく確認する仕組みを作ることが必要です。

例えば、誰のどんな課題を解決するのかが明確か、市場はどの程度想定されるのか、どのような価値を提供するのか、PoC(概念実証)に付き合ってくれる顧客がいるのかなど、段階的に仮説を考え、それを検証しながら、修正可能な失敗なのかどうかを確認、少しずつ前に進めていく仕組みです。

DX推進担当者
失敗を成果につなげていく、そんな試行錯誤のための仕組みを作る必要がありますね。
しかし、そもそも新たなビジネスのアイデアを生むためには、何をすればいいのでしょうか?

松延
新たなビジネスのアイデアをより多く集めるための仕組み作りが必要です。
実際、9割の方は新たなビジネスのアイデアを考えたことがないはずです。しかし、1割くらい、新たなビジネスを生むことを真剣に考えている方がおられるのも事実です。そういう方を社内で発掘して、巻き込むイベントを作るというのは一つのやり方です。

もしくは、新規ビジネスのファンドを作ることによって、社内の各部門で考えてはいたが、予算が無くて進められなかったアイデアを発掘するというのもあります。

こういった仕組を回せるようになったら、次は社外からもアイデアを集められるようにするということも考えられます。

DX推進担当者
なるほど!自分一人が考えるというのではなく、新規ビジネスを考えられる人材探しの仕組みから始めるのですね。
ただ、彼らに漠然と考えてもらうだけでいいのでしょうか? 成功するビジネスモデル探しのヒントはあるのでしょうか?

松延
新規ビジネスを考えるときには、まず、自分たちが「どんな価値を、誰に対して、提供していきたいのか」を明確にすることが重要です。

DX推進担当者
「どんな価値を提供していきたいのか」という点ですが、どこから探ればよいのでしょうか?

松延
勿論、目の前のお客様が何に困っているのかを起点に考えることはすると思いますが、将来、顧客を取り巻く社会や技術がどう変化し、どういう課題が出て来るかを想像することが重要です。
一方で、自社の創業の理念に立ち返り、創業者はどのような価値を社会に提供しようとしていたのかを、振返ってみることがヒントになることもあります。
現在という位置から、未来や過去に視点を移し、その交点に、自分たちがどんな価値を世の中に提供できるのかが見えてきます。

小さく始めて大きく成長させることが可能なデジタル

DX推進担当者
成功する新規ビジネスを生むためのコツはありますか?

松延
先ほどの話の通り、確実に成果を出す方程式はありません。ただ、成功確率を上げるためには、たくさん打席に立つことが必要です。

DX推進担当者
新規のビジネスを立ち上げるための投資も大きいですし、それを数多くやるのは、難しくないですか?

松延
デジタルビジネスでは、小さく始めて大きく成長させていくことが可能です。リアルの世界だと、最初から設備などの、初期投資がある程度必要です。しかし、デジタルであれば、安価かつ迅速に実験的なことを始めることが可能です。

DX推進担当者
初期投資がかなり少なくても、新規ビジネスを始めることはできますか?

松延
はい、可能です。例えば、画面のデザインが完璧でなくても、2つ、3つの機能だけが動くものを作り、いろいろなお客様に使っていただき、そのサービスに手ごたえがありそうであれば機能を追加していく……。このように、段階を踏んで投資をすることが可能です。とにかく、トライ&エラーを数多くできるようにすることが大切です。

デジタルの新規ビジネスは小さく始めて、段階的に大きくしていくことが可能です。アナログなビジネスとは検証や投資の仕方も異なりますので、それらの仕組みづくりも重要です。

今回は、ビジネスモデルの変革を目指すDXのポイントを説明しました。

次回は、新規事業企画に関するシリーズをお届けします。

執筆者情報

  • 松延 智彦

    システムコンサルティング事業本部統括部長

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