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オミクロン株は各国の新型コロナ感染状況をどう変えたか?

2022/07/19

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2020年の初めに新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に始まってから、約2年半が経とうとしている。日本では、2020年春以降、何回かの新型コロナウイルス感染拡大の波があった。特に、昨年夏のデルタ株に続き2022年1月からはオミクロン株の急激な感染拡大が起こったことは記憶に新しい。その後、ワクチンの追加接種が進んだ事もあり、感染者数は以前ほどには増えていない。2022年6月末時点においては、国内で一日当たり数万人の新規感染者が報告されているものの、社会経済活動は正常化に向かいつつある。世界全体でも、一部の国を除いて同様な正常化が進みつつあると言われている。
そこで、各国の新型コロナ感染状況が最近の時点でどうなっているか、またオミクロン株の影響はどの程度あるかを見ていこう。

まずは、オミクロン株の感染が広がる前、各国がどのような状況だったか見てみよう。
南アフリカからWHOへ最初のオミクロン株感染者が報告されたのは2021年11月24日である。そこで2021年10月末時点の各国の感染状況をまずは見てみる。
図表1は、日本・米国・イギリス・ドイツ・カナダ・ニュージーランド・韓国・台湾・香港という9か国・地域における、2020年2月1日から2022年6月30日までの感染状況(全人口に占める累計感染者数の割合)である。

図表1 9か国・地域の全人口に占める新型コロナの累計感染者数比率
(2020年2月1日~2022年6月30日)

出所:Our World in Dataより野村総合研究所作成

この図からも分かるように、2021年10月31日時点では米英のように、人口のかなりの程度(1割強)が感染した国がある一方、ニュージーランド・韓国・台湾・香港のように厳格な入国制限や検査の徹底などの対策で、感染拡大の抑制に成功している国々もあった。
次に8か月後の2022年6月30日時点の感染状況を見てみる。

2021年10月31日時点では感染拡大の抑制に成功していたニュージーランド・韓国・台湾・香港が、2022年に入ってからはオミクロン株の蔓延を食い止めることは出来ず、感染者数が急拡大している。例えば、韓国では2022年6月30日時点で人口の凡そ3分の1が感染している。  同様に、人口当たりの死亡者数に関しても、当初から感染が拡大していた米英等の国・地域よりは少ないものの、これらの国・地域においても死亡者数が増加傾向にある(図表2)。

図表2 9か国・地域の人口1万人当たり新型コロナ死亡者数累計
(2022年6月30日時点)

出所:Our World in Dataより野村総合研究所作成

この様に、オミクロン株の登場までは感染拡大の抑制に成功していた国・地域でも、感染力が高いと報告されているオミクロン株に関しては感染拡大を食い止めることは出来なかったと言える。
実際にこれらの国・地域に関する感染状況の報告を見ると、従来行ってきた入国制限や検査の徹底などの対策でオミクロン株の感染拡大を食い止めることは難しく、結果として新型コロナ対策を感染拡大よりも重症化予防などに重点を置く、いわゆる「ウィズコロナ」に方針を変換した、とされている。 
これら9か国・地域のワクチン接種状況(2回接種・追加接種(2回接種後のブースター接種))を見ると、2022年6月30日時点で何れも接種自体は進んでいる事から、オミクロン株に関しては感染拡大防止よりも重症化予防を重視して接種していると言える(図表4)。

図表4 9か国・地域の新型コロナワクチン接種状況
(2時点の2回接種率及び2022年6月30日時点の追加接種率:全人口に対する接種者の割合)

出所:Our World in Dataより野村総合研究所作成

ここまで紹介した各種データからは、以下のようなことが言える。

  • 1)  

    厳格な入国制限や検査の徹底などの対策で、当初感染抑制に成功してきた国・地域においても、オミクロン株の登場により、感染は急速に広がっており、最初に感染が拡大した国・地域との感染状況の差は小さくなりつつある。この事は、各国の新型コロナ対策が、ワクチン接種の普及による重症化予防を前提とした「ウィズコロナ」対策に収れんしつつある理由でもある。

  • 2)  

    今回紹介した9か国・地域は、いずれもオミクロン株の登場以降、累積の感染者数が人口の1割から3割程度になっており、人口の一定程度は既に感染している。

  • 3)  

    これらの国・地域と比較して、日本は相対的に累積の感染者や死亡者が少ない今回比較をした9か国の中の比較としては新型コロナの感染拡大抑制にある程度成功したと言えるかもしれない。なお、コラムを執筆している2022年7月初め時点では感染者の増加傾向が報告されており今後に関しては注視すべきと考えられる。

執筆者情報

  • 梅屋 真一郎

    未来創発センター

    制度戦略研究室長

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