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5月28日から1週間のガソリン補助金は1リットル当たり37.2円

政府は5月27日に、5月28日から1週間のガソリン補助金が1リットル当たり37.2円になると発表した。前週の41.8円から低下し、3週ぶりに30円台となった。
3月19日以降:
30.2円/リットル
3月26日以降:
48.1円/リットル
4月2日以降:
49.8円/リットル
4月9日以降:
48.8円/リットル
4月16日以降:
35.5円/リットル
4月23日以降:
30.9円/リットル
4月30日以降:
39.7円/リットル
5月7日以降:
39.7円/リットル
5月14日以降:
42.6円/リットル
5月21日以降:
41.8円/リットル
5月28日以降:
37.2円/リットル

「標準シナリオ」では6月30日にガソリン補助金の予算は枯渇

前回までと同様に、最新の補助金額である1リットル当たり37.2円が今後も続くケースを「標準シナリオ」、6月4日以降は1リットル当たり50円の補助金が続くケースを「悲観シナリオ」、1リットル当たり20円の補助金が続くケースを「楽観シナリオ」とした。
 
現在のガソリン補助金の予算が枯渇する時期は「標準シナリオ」では6月30日と、前週の試算値である6月26日からやや後ずれした。「悲観シナリオ」では6月23日、「楽観シナリオ」では7月23日だ。6月下旬にも現在確保している予算は枯渇する計算となる。
 
図表 ガソリン補助金の予算枯渇シミュレーション

補正予算でガソリン補助金の予算が追加される見込み

高市首相は5月25日に、中東情勢について国民の命と暮らし、経済活動に支障が生じないよう政府の取り組みをさらに強化するために、3兆円強の補正予算編成を行う考えを表明した。ガソリン補助金の追加予算もこの補正予算で確保されるとみられる(コラム「高市首相は3兆円強の補正予算の編成を表明:財政の信頼性維持と節約呼びかけの是非」、2026年5月26日)。
 
自民党内では予算を圧迫するガソリン補助金の縮小の必要性を訴える声が高まっており、最終的には高市首相も制度の見直しを行うことになるものと予想される(コラム「自民党内で強まるガソリン補助金見直しの議論」、2026年5月25日)。ただし今回の記者会見で高市首相は、ガソリン補助金見直しについて「今後の物価動向や経済に与える影響を注視し、政府として必要な検討を進めていく」との説明にとどめた。
 
レギュラーガソリンを全国平均で1リットル当たり170円程度に抑える現在のガソリン補助金制度のもとで、5月27日までの過去1か月間の補助金の規模は5,040億円とほぼ5,000億円程度に達したと推定される。そのもとで新たに3か月のガソリン補助金の予算を確保するのであれば1.5兆円、半年分であれば3.0兆円程度となる。
 
今回の3兆円強の補正予算の多くは、ガソリン補助金の継続に充てられると考えられる。

ガソリン補助金の制度見直しを

現在のガソリン補助金を継続することは財政環境を悪化させ、金融市場では長期金利の上昇や円安などの反応を引き起こしている面がある。補正予算で、ガソリン補助金の追加予算を手当てするのであれば、同時にガソリン補助金を縮小させる方向で見直しを実施すべきだ。
 
現在のガソリン補助金をそのまま続けることの問題は、財政への影響だけではない。原油の供給不足のリスクが残る中、ガソリン、あるいは電気・ガスの消費を緩やかに抑制し始めることが必要だ。ガソリン価格を1リットル170円程度で安定させる現在のガソリン補助金制度や、昨年を上回る手厚い補助が検討されている電気・ガス補助金制度は、消費者の節約意識を弱めてしまうという問題もある。
 
生活が強く圧迫される中低所得層に絞った補助金とし、全体の支出規模を抑えるべきではないか。所得制限付きの補助金が技術的に難しいのであれば、電気・ガスの補助金とともにガソリン補助金の金額を抑え、同時に低所得者向けの給付金を新たに検討しても良いのではないか。
 
ガソリン補助金を縮小させる方法としては、ガソリン価格を一定程度の水準に抑える現在の仕組みを続けながら、その水準を1リットル当たり190円などへと引き上げる方法がある。また、市場で決まるガソリン価格に対して、1リットル20円などと一定額の補助金を政府が支給する方法もある。
 
後者の場合、海外での原油価格がこの先大幅に上昇しても、政府の補助金を一定額に抑えることが可能となるが、ガソリンの小売価格は大きく上昇してしまう。現時点では、前者の見直し方法が採用される可能性の方が高いのではないか。

プロフィール

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    木内 登英

    金融ITイノベーション事業本部

    エグゼクティブ・エコノミスト

    

    1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。

※組織名、職名は現在と異なる場合があります。