米中貿易戦争の休戦(Trade Truce)は維持の方向
2026年9月24日にワシントンD.C.のホワイトハウスで、米中首脳会談が行われる。会談では、両国の貿易問題が大きなテーマとなる見通しだ。
今年5月の米中首脳会談後の発表によると、関税や輸出管理措置をめぐる休戦状態を、今年11月まで両国が継続することが確認された。双方が追加関税の応酬を当面拡大しないこと、一部関税引き下げや貿易協議を継続すること、貿易・投資委員会などの枠組みで個別案件を協議すること、等が合意された。
今回の首脳会談では、11月の休戦期限以降について話し合われるとみられる。休戦の延長で合意される可能性もある。
加えて、レアアースの供給問題も議題となる可能性がある。レアアースは半導体、電気自動車、軍事機器などに不可欠であり、米国としては中国からの安定供給や供給拡大を期待している。
しかし米国側は、レアアース供給拡大と引き換えに対中輸出規制を緩和する考えはないとも強調している。この問題は、既に両国間でかなり進展したことが推察される。
今回の会談では、AI分野も重要議題として扱われる見通しだ。首脳会談後の晩餐会には、OpenAIやNVIDIAなど主要テクノロジー企業のトップが出席する予定と報じられている。
首脳会談に先立ち、ベッセント米財務長官と中国の何立峰副首相らは20日、ニューヨークで閣僚級協議を開いた。ベッセント財務長官は協議後に、AIに関する事故や安全保障上の脅威が発生した際に、両国が相互に通知する仕組みを米側が提案したことを明らかにした。
今年5月の米中首脳会談後の発表によると、関税や輸出管理措置をめぐる休戦状態を、今年11月まで両国が継続することが確認された。双方が追加関税の応酬を当面拡大しないこと、一部関税引き下げや貿易協議を継続すること、貿易・投資委員会などの枠組みで個別案件を協議すること、等が合意された。
今回の首脳会談では、11月の休戦期限以降について話し合われるとみられる。休戦の延長で合意される可能性もある。
加えて、レアアースの供給問題も議題となる可能性がある。レアアースは半導体、電気自動車、軍事機器などに不可欠であり、米国としては中国からの安定供給や供給拡大を期待している。
しかし米国側は、レアアース供給拡大と引き換えに対中輸出規制を緩和する考えはないとも強調している。この問題は、既に両国間でかなり進展したことが推察される。
今回の会談では、AI分野も重要議題として扱われる見通しだ。首脳会談後の晩餐会には、OpenAIやNVIDIAなど主要テクノロジー企業のトップが出席する予定と報じられている。
首脳会談に先立ち、ベッセント米財務長官と中国の何立峰副首相らは20日、ニューヨークで閣僚級協議を開いた。ベッセント財務長官は協議後に、AIに関する事故や安全保障上の脅威が発生した際に、両国が相互に通知する仕組みを米側が提案したことを明らかにした。
中国が米国からの原油輸入を拡大するか
今回の首脳会談では、中国による米国製品の輸入拡大も議題となる。米国は中国に対して一貫して、農産物、エネルギー、航空機などの購入拡大を求めてきた。米国は、貿易赤字縮小と国内雇用への効果を重視しており、中国市場への輸出拡大を首脳外交の成果として示したい思惑があるようだ。
その中でも注目されるのが、中国による米国からの原油輸入拡大だ。既に拡大の方向で議論される見通しとなっているが、購入量や時期などの具体的な数値目標は公表されていない。
中国は世界最大級の原油輸入国だが、近年はロシア、中東、ブラジルなどからの調達比率が高まっていた。米国はシェール革命以降、原油・LNG(液化天然ガス)の輸出大国となり、中国向け輸出の拡大を望んできた。
中国による米国からの原油輸入拡大の合意は、世界の原油需給、原油価格への影響、日本の原油代替調達への影響、という観点から大いに注目されるテーマだ。
中東情勢の緊迫化以降、中国は原油輸入を抑制しており、これが世界の原油需給の逼迫と原油価格の上昇を一定程度抑えてきたと考えられる。中国では構造的に、燃料としての原油需要は減少してきた。短距離航空やガソリン車の利用は、電気駆動の高速鉄道や電気自動車(EV)の利用に代替される傾向にある。また、電力は主に石炭と再生可能エネルギーによって賄われている。中東情勢緊迫化以降、その傾向は強まっている(コラム「米国と中国が世界の原油価格安定に貢献か」、2026年6月17日)。
しかし、中国が米国からの原油輸入を積極化すれば、そうした効果は薄れる可能性がある。
その中でも注目されるのが、中国による米国からの原油輸入拡大だ。既に拡大の方向で議論される見通しとなっているが、購入量や時期などの具体的な数値目標は公表されていない。
中国は世界最大級の原油輸入国だが、近年はロシア、中東、ブラジルなどからの調達比率が高まっていた。米国はシェール革命以降、原油・LNG(液化天然ガス)の輸出大国となり、中国向け輸出の拡大を望んできた。
中国による米国からの原油輸入拡大の合意は、世界の原油需給、原油価格への影響、日本の原油代替調達への影響、という観点から大いに注目されるテーマだ。
中東情勢の緊迫化以降、中国は原油輸入を抑制しており、これが世界の原油需給の逼迫と原油価格の上昇を一定程度抑えてきたと考えられる。中国では構造的に、燃料としての原油需要は減少してきた。短距離航空やガソリン車の利用は、電気駆動の高速鉄道や電気自動車(EV)の利用に代替される傾向にある。また、電力は主に石炭と再生可能エネルギーによって賄われている。中東情勢緊迫化以降、その傾向は強まっている(コラム「米国と中国が世界の原油価格安定に貢献か」、2026年6月17日)。
しかし、中国が米国からの原油輸入を積極化すれば、そうした効果は薄れる可能性がある。
日本の原油代替調達に影響も
また、中国による米国産原油の輸入拡大は、日本の米国産原油の代替調達に影響を及ぼす可能性がある。日本はホルムズ海峡の封鎖状態が続く中、米国からの輸入を急速に拡大させてきた。7月には代替調達の半分程度が米国産だったと推察される。
しかし政府が示す資料によると、9月の米国からの原油輸入量が、8月と比べて一気に半分以下に縮小する見通しとなっている。10月にはさらに減少する可能性がある(「我が国の原油調達の状況」、資源エネルギー庁)。
詳細は明らかにされていないが、米国が日本に対して優先的に原油を供給する戦略を修正し始めた、米国の原油輸出余力が低下している、などの可能性が考えられる(コラム「米国のイラン攻撃再開と90ドル台に達した原油価格:米国頼みの原油代替調達に限界も」、2026年9月2日)。
こうした中、米国が中国向けの原油輸出を拡大すれば、日本の米国産原油の代替調達がさらに減少する可能性があるのではないか。ホルムズ海峡経由だけでなく、紅海側のバブエル・マンデブ海峡経由の原油輸入も滞るなか、このことは、日本の原油調達に大きな障害となり、再び国内石油備蓄の放出に追い込まれる可能性も出てくるだろう。原油不足への不安が再び高まると、石油関連産業では、在庫確保のために生産調整を行い、それが川下での日用品の品不足、価格高騰を引き起こす可能性も出てくるだろう。
こうした観点も含め、米中首脳会談での貿易に関する議論は、日本及び世界で大きな注目を集めている。
しかし政府が示す資料によると、9月の米国からの原油輸入量が、8月と比べて一気に半分以下に縮小する見通しとなっている。10月にはさらに減少する可能性がある(「我が国の原油調達の状況」、資源エネルギー庁)。
詳細は明らかにされていないが、米国が日本に対して優先的に原油を供給する戦略を修正し始めた、米国の原油輸出余力が低下している、などの可能性が考えられる(コラム「米国のイラン攻撃再開と90ドル台に達した原油価格:米国頼みの原油代替調達に限界も」、2026年9月2日)。
こうした中、米国が中国向けの原油輸出を拡大すれば、日本の米国産原油の代替調達がさらに減少する可能性があるのではないか。ホルムズ海峡経由だけでなく、紅海側のバブエル・マンデブ海峡経由の原油輸入も滞るなか、このことは、日本の原油調達に大きな障害となり、再び国内石油備蓄の放出に追い込まれる可能性も出てくるだろう。原油不足への不安が再び高まると、石油関連産業では、在庫確保のために生産調整を行い、それが川下での日用品の品不足、価格高騰を引き起こす可能性も出てくるだろう。
こうした観点も含め、米中首脳会談での貿易に関する議論は、日本及び世界で大きな注目を集めている。
プロフィール
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木内 登英のポートレート 木内 登英
金融ITイノベーション事業本部
エグゼクティブ・エコノミスト
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。