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前例や経験がなくても先陣を切って最新テクノロジーに挑む

ITアーキテクチャーコンサルティング部 グループマネージャー 下田 崇嗣

デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速していますが、多くの企業が課題として挙げるのが、新しいテクノロジーを巧みに扱えるデジタル人材の不足です。特に大学でデータサイエンスを専攻した人材は引く手あまたの状況です。そのようななかで専攻がITではなかった下田崇嗣が開発現場でどのように知見や経験を蓄積し、デジタルの世界で活躍できるようになったのでしょうか。

テクニカルエンジニアとしてゼロからスタート

NRIには2000年に新卒で入社し、テクニカルエンジニアとして情報技術本部に配属されました。大学時代は有機電気化学を専攻し、白衣を着て実験をする日々を過ごしてきたので、パソコンもあまり触ったことがありませんでした。テクニカルエンジニアは基盤系の開発を行うため、より専門性の高い技術を習得する必要があります。入社直後は先輩やパートナーにあらゆることを一から教わり、何とか業務をこなす毎日でした。

2年目に合弁会社に出向となり営業職を、3年目にシステムコンサルティング部門でコンサルティングを経験しました。しかし、このままでは自分の専門性を作れないのではないかと焦りを感じ始めたので、異動希望を出した結果、再び開発現場で働けることになりました。
このように、現場でシステムの設計、開発、運用まで一通り経験を積めたことは、今の自分のベースとなっています。特に、新しい技術に興味を持ち、積極的に情報を入手し、時間があれば自ら触って、納得のいくまで理解を深めるスタイルはこのときに身についたものです。

リスクを恐れずにベストだと思う提案をする

現在はITアーキテクチャーコンサルティング部に所属しています。部のミッションはテクノロジーでお客様のビジネスを変革させること。変革というと大げさなようですが、お客様が求めるもの、やりたいことをテクノロジーでどう具現化するか考えて支援するのが普段の業務です。また直近では、コロナ禍によりお客様の働き方をはじめとして、世の中の生活様式、行動様式が大きく変わりました。既存事業が成り立たなくなる状況も生じる中で、いかにテクノロジーをうまく活用して、少しでも問題の解決に近づけるように支援したいと思っています。

これまでの仕事を振り返ると、特に印象に残っているのが7~8年前に担当したコンサル支援案件です。当時はまだ評価が分かれていたクラウド活用を思い切って提案してみたところ、お客様は全面的にクラウドにシフトする選択をしたのです。実は当時はNRI社内でもそうした前例はありませんでした。しかも、新規顧客だったので、リスクはとれないという判断もありえたのですが、上司からやってみろとGOサインが出ました。公開情報に当たり、有識者の知見も借りながら、どうすればベストの形で実現できるかを考え、数年がかりで移行は完了。結果として、お客様が良い方向に変わる支援ができたので、とても充実感がありました。

この分野のテクノロジーは日進月歩で進化し、5年後にどうなっているかなど誰にもわかりません。過去の経験は通用しづらく、絶対にうまくいくやり方も存在しません。その中で、前例がない、経験がないと尻込みしていたら、何もできなくなってしまいます。自分にとって新しいテクノロジーだとしても積極的にチャレンジする姿勢が、以前にも増して重要になっています。現在も、前例のないプロジェクトをお客様と一緒に試行錯誤しながら進めています。新しいことにチャレンジするのは、やりがいがありますし、多くのことを学ぶことができます。

経験を積める場をつくって人を育てる

とはいえ、広範な分野をすべて一人で把握することはできません。その点、NRIは様々な分野の専門家が多いので、その領域に詳しい人を探し出して一緒に仕事をしたり、学んだりできるのは助かります。社内だけでなく外部の人とも、積極的に人的ネットワークを構築して、情報を得るようにしています。私が人的ネットワークづくりで心がけているのは、ギブアンド・テイクの考え方です。これまでのプロジェクトで調べたことや先進事例などを整理しておき、それを提供することで、自分だけが一方的に情報をもらうのではなく、お互いに学べる形にしたいと思っています。

現在、一番力を入れているのは、デジタル人材の育成です。以前であれば、先輩の背中を見て学ぶことができたのですが、今はそのやり方は通用しません。もちろん、いろいろな情報が得やすくなっていて、知識そのものは勉強して身に付けることはできます。しかし、そのテクノロジーを使って何をするかを考えることは、知識があるだけではうまくいきません。メンバーのバックグラウンドや将来やりたいことなどを加味して、いかに経験を積める機会や場を提供するかに腐心しています。

メディアサイトで記事を連載したり、書籍を出すなどの情報発信の活動もその一環です。共著書『デジタルアーキテクチャー設計・構築ガイド』(日経BP)は、メンバーに日々やっている仕事について頭を整理し、モチベーションを持ってもらう狙いで取り組みました。業務の傍ら発信活動をするのは大変ですが、お客様から反響があったり、新しい仕事のきっかけになったりすることもあります。また、この仕事に求められるものは、何と言っても主体性です。どれだけ主体的に動ける人を育てられるかが、自分にとっての課題です。

一歩踏み出せば、状況は変わっていく

NRIはものを作っているわけではなく、人を通して仕事を行います。ですから、今後もいろいろなお客様と接しつつ、価値を共創することで、最終的に社会貢献ができればと思っています。

お客様と話をしていると、デジタルを使って新しいことに取り組んだり、変化に対応しようと思いながらも、どのくらい費用がかかるのか、いくら儲かるのかという話が先に来て、なかなか先に進めずにいる状況をよく見かけます。行動に移して具体化しない限り、期待する効果は決して得られないので、とにかく一歩踏み出してやってみることが重要です。その結果、思惑と違った形になったり、失敗することもあるかもしれませんが、そこから学べることは必ずあります。

日本企業は事前に人員を揃えて、準備万端で臨もうとする傾向がありますが、デジタル人材が不足している中で、適任者がいないからできないという考えでは、迅速に動けません。とにかく一歩踏み出してみれば状況は変わってきて、人材をどう手当てできるかが見えてきたり、実践をする中で人材が育っていったりするものです。走りながら考えるスタイルが求められているので、そうした部分の支援も含めて、チャレンジ精神を持ちながら、テクノロジーでお客様の活動に貢献できる活動を継続していきたいと思います。

下田 崇嗣

ITアーキテクチャーコンサルティング部 グループマネージャー

下田 崇嗣

Profile

2000年NRIに入社。
10年を超えるシステム開発経験・ノウハウを活かして、システム化構想・計画策定、PMO支援、技術動向調査・戦略策定、システム基盤設計・構築・基盤評価、基盤ミドルウェアの企画・設計・開発、クラウド活用戦略、アーキテクチャーデザインなどのコンサルティング業務に従事。
NRI認定ITアーキテクト(基盤ストラテジスト)。

お問い合わせ

株式会社野村総合研究所
コーポレートコミュニケーション部
E-mail: kouhou@nri.co.jp