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中国日系企業の幹部社員研修プロジェクト

YKK(中国)投資有限公司 様
ソリューション:真の現地化を進めるための人材育成をサポート

2008/06/23

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第2話 真の現地化を進める幹部社員研修

YKK(中国)投資有限公司が実施した中国人幹部社員の研修を支援したのが、NRI上海の人材マネジメントコンサルティングチーム(以下、人材チーム)でした。メンバーの劉沫真、趙瑛、吉川昌樹が研修の体系づくりからかかわり、現在もその支援を続けています。

求める幹部社員像に合わせ綿密に能力体系を整備

NRI上海の人材マネジメントコンサルティングチーム 趙瑛、劉沫真、吉川昌樹
NRI上海の
人材マネジメントコンサルティングチーム
趙瑛、劉沫真、吉川昌樹

中国人幹部社員研修の支援は、2006年1月に始まりました。
「2003年以降、中国YKKグループ様は飛躍的に成長を遂げる中で、多数の社員を抱えるようになりました。そのため、マネジメントを行う中国人社員の幹部登用を進めたものの、会社が求める幹部社員像に中国人社員が必ずしも達していない、あるいは、中途採用者がとても増えたといった理由から、会社として求める人材像をいったん整理した上で、幹部社員のレベルの底上げを図ろうとしたためです」
研修の目的を趙瑛が説明します。
中国YKKグループを統括するYKK(中国)投資有限公司(以下、YCI)が求めていたのは、YKKの精神や理念の下、自律的に物事を考え仕事を進めていける幹部社員でした。そのような社員を育てるためには、どのような能力が必要で、どんな研修を何回に分けて行っていけばいいのか。こうした研修の体系づくりを重視したNRI上海の人材チームは、この設計プロセスに6カ月を費やしました。プロジェクトの始動期からかかわってきたシニアコンサルタントの劉沫真が振り返ります。
「私たちは最初に、社員に必要な能力を定義しました。YCI様には社員の役割と能力を定義した『役割定義書』がありましたが、例えば、ある職種に必要な能力として「思考力」と記されているなど、定義が抽象的だったので、私たちは『役割定義書』を参考にしながら、能力要素をもっと細かく抽出して、幹部社員の各レベルが必要とする能力を、さらに具体的に決めていきました」
このように、最初に能力体系を整理してから、それに基づいて研修の内容と進め方を決めていった点は、YCIの研修担当者に高く評価されたといいます。

日本人駐在員にもマネジメント研修は必要

 研修コースは3年間に全6回。中国YKKグループの13社60拠点で働くマネジャークラスの社員を、1回ごとに上海に集め、1泊2日の集中研修を実施します。2006年7月から、第1期生の研修がスタート。各回とも、ケーススタディをもとに議論をしたり意見を講師にぶつけたりする参加型の内容で、「毎回、研修クラスは活気があり、受講者は積極的に発言している」様子に、研修を企画したNRI上海人材チームも手応えを感じました。
2007年からは日本人駐在員を対象にした研修も始まりました。全6回の、中国人幹部社員とほぼ同じ内容です。この研修を担当している吉川昌樹が、実施の背景について語ります。
「一般的に見て、中国人社員を管理する日本人駐在員に、マネジャーにとしての能力があるかというと、必ずしもそうとは限りません。営業や技術などの専門スキルはあっても、マネジメントの経験がない方は少なくありません。また、日本で部下をもったことのない社員が、急に中国に派遣され、いきなり優秀な中国人部下を持つ状況に置かれることもあるのです」
「日本人の管理職者は、もっとマネジメント能力を高めるべきだ」。しばしば、日系企業で働く中国人社員からは、そんな不満の声が挙がっています。中国YKKグループも、決して例外ではありませんでした。
「それをYCI様の経営層にフィードバックしたところ、すぐに日本人駐在員のための研修が始まりました。中国人社員の不満を聞いても、なかなか解決に動き出さない日系企業が少なくない中で、YCI様は対処策を考えてすぐに行動されました」
と劉沫真は言います。
また、日本人社員と中国人社員とではコミュニケーションの仕方も異なります。
「例えば、日本の会社では、部下から上司への“ホウレンソウ”は当たり前ですが、中国人の社員はあまり慣れていません」
趙瑛は、中国人社員がどう認識しているかを説明します。
「中国人は自分に仕事を任されると、すべての権限が自分に委ねられ、その仕事はどこまでも自分だけが把握していればいいと考えます。しかし日本人は、仕事を任せられても、その報告をするのは当たり前だと思っています。ここにコミュニケーションのギャップが生じます」
こうしたすれ違いを解消するため、NRI上海の人材チームは、日本人社員のために異文化コミュニケーションのテキストも作成しました。
中国人幹部社員の研修は現在、第1期生に加え、2007年以降、昇進または中途採用された2期生、3期生を対象としたコースも進んでいます。

進まない真の現地化
企業は求める人材を明確に

  2000年代前半、中国では日系企業の「とりあえずの現地化」が進みました。しかし現在、本当の意味での経営現地化実現には大きな壁が立ちはだかっています。
「現地化」とは、単に日本人駐在員から現地社員に役割が代わることではなく、「現地社員が自社固有の理念や価値観を理解し実践しながら事業を成長させるような組織を作ること」だと、NRI上海の人材チームは考えています。このためには、企業の経営理念や価値観を身につけ、後進世代のロールモデルともなる「現地化・第一世代」の現地社員を育てていくことが不可欠です。ところが多くの日系企業では、この第一世代の社員が期待に応えられる人材になってはいないようです。それどころか、自律的に行動できない「指示待ち型マネジャー」、日本人駐在員におもねる「甘やかされたマネジャー」、専門知識も能力もあるものの「人間力の低いマネジャー」、会社への忠誠心が希薄な「面従腹背型マネジャー」、会社の批判ばかりして動こうとしない「後ろ向き批判者型マネジャー」といった存在になっている例も見受けられます。
「(もともと)中国には適材が少ない」「育てる途中ですぐ辞めてしまう」など、日系企業はいろいろな敗因理由を挙げていますが、根本的な原因は、求める人材を選ぶ企業としての意志と意識が弱いことだとNRI上海の人材チームは考えています。経営現地化実現のために重要なポイントを、メンバーを次のように言います。

劉沫 真

幹部社員の育成については、パッケージ化された一般的なスキル研修を実施するのではなく、企業の理念を理解し実践できる組織や人の育成を目指した研修体系を考えることが大切です(劉沫真)

吉川昌樹

日本では研修というと、福利厚生の位置付けとして見られがちですが、中国では人事戦略的に考えて研修体制をつくっていく必要があると思います(吉川昌樹)

趙 瑛

経営者が、現地の人材を育成したいというメッセージを強く出す必要もあります。経営層から社員への期待を伝えていくことも大切です(趙瑛)

※本文中の組織名、職名、構成図は公開当時のものです

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野村綜研(上海)咨詢有限公司(NRI)

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