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コラム 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight

ドイツ銀行がバッドバンク設立を検討

2019/06/18

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投資銀行部門の大幅削減が始まる

英フィナンシャル・タイムズ紙が報じるところによると(注) 、ドイツ銀行は不採算である投資銀行部門の大幅なリストラを計画しており、その中には数百億ユーロの資産を別組織に移す、いわゆる「バッドバンク」設立の構想も含まれているという。ドイツ銀行が保有する資産を再評価したうえで、最大500億ユーロの資産を、受け皿機関のバッドバンクに売却する、などといったことが検討されている模様だ。それに伴い、ドイツ銀行の欧州以外での債券、株式のトレーディング部門は相当縮小される、あるいは閉鎖される可能性があるという。ドイツ銀行のゼービングCEO(最高経営責任者)は5月に、フランクフルトで開かれた年次株主総会で、「われわれは投資銀行で厳しい削減を行う用意ができている」と発言していた。

バッドバンクに売却される非コア資産の中心は、金利スワップのようなデリバティブ(派生商品)のようだ。最終的な規模は、400億ユーロから500億ユーロ程度であり、500億ユーロとなれば、ドイツ銀行の総資産の14%にも達する規模だ。

ドイツ銀行の経営不振は続いており、株価はこの1年間で4割も低下した。4月には、コメルツ銀行との合併交渉が決裂したことで、再建への道筋は再び見えなくなっていた。

こうしたなか、ドイツ銀行にとって最優先課題は、収益性を高めることだ。ドイツ銀行は今年のROE(自己資本利益率)を少なくとも4%まで高めることを目指しているが、1-3月期には僅か1.3%にとどまった。現状のままでは、その目標を達成できる目途はない。バッドバンク構想も、こうした厳しい環境の下で議論されている。

ドイツ銀行が目指す国際再編

ゼービングCEOはコメルツ銀行との合併交渉が決裂した後も、合併先を模索していると見られる。もはや、国内には合併先がないことから、国際再編を目指しているとされる。一時はスイスのUBSグループが取り沙汰されたが、議論は暗礁に乗り上げたようだ。

その背景には、ドイツ銀行の低い収益性がある。そこで、まずは収益性を高めるリストラを実施し、市場の評価を高めた後に、海外の銀行との再編を狙っている可能性がある。それが、バッドバンク構想の背景にあるのかもしれない。

ドイツ銀行には、収益以外にも足もとで大きな問題が浮上している。6月7日にケルン検察当局は、ドイツ銀行の投資銀行部門責任者ガース・リッチー氏が、違法とされる税取引に関与した疑いがあるとして、強制捜査に乗り出した。同氏の他にも、元共同CEOのアンシュー・ジェイン氏も捜査対象になっているという。

投資銀行部門責任者に強制捜査の手が及ぶことが、投資銀行部門の削減計画に与える影響は不明だが、ドイツ銀行が、リストラの具体策を提示することで早期に市場の信頼回復を図る誘因を一層高めることになるのではないか。

(注)"Deutsche to set up €50bn 'bad bank' as part of radical overhaul", June 17, 2019

執筆者情報

木内 登英

エグゼクティブ・エコノミスト

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