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「不動産テック」が住宅の常識を変える

コンサルティング事業本部/谷山智彦

2016/12/15

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デジタル化が遅れた不動産業界にも、データ分析やITを活用した新しいサービスが登場しています。住まいに対して、もっと気軽に考えることができそうです。

不動産業界にデータとテクノロジー

保守的でわかりにくいとされる不動産業界。家を売りたいと思っても、なかなか気軽にできないのが日本の現状です。ところが、テクノロジーの進化と膨大なデータ分析が可能になったことで、こうしたハードルを下げる新しいサービスが登場しています。「不動産テック(Real Estate Tech)」と呼ばれるこの動き、住まいに関わる従来の常識が変わるほどの影響を及ぼしそうです。

勘や経験ではなく、膨大なデータから判断

新しいテクノロジーや分析モデルを使った「不動産テック」のサービスは、FinTech同様、5~6年前から米国を中心に海外の不動産分野で注目が集まってきました。「日本では、2014年末から15年にかけて、10以上のスタートアップが続々とサービスを立ち上げている」と、NRIの谷山智彦は補足します。谷山は、不動産分野のファイナンス理論を専門とし、仕事を通じて日本の不動産に関するデータを10年以上見続けてきました。

「日本の不動産各社には、勘と経験で市場や物件を動かす達人のような人がいます。しかし、データやアルゴリズムを使って市場をわかりやすく見せたり、データに基づいて意思決定したりする仕組みが、日本の不動産業界にもそろそろ必要だと思っていました」

あなたの家の価格がリアルタイムでわかる

「不動産テック」のサービスには、個人向け住宅売買・賃貸から、不動産開発や資金調達、業務管理などさまざまなモデルがあります(表参照※)。それぞれ、テクノロジーが入ることで、便利で快適という以上のインパクトを秘めています。谷山は例として、住宅の価格査定を挙げます。

「マンションや戸建てなどすべての不動産価格を、ネット上にリアルタイムで表示してくれるサービスが登場しています。周辺の地価や地盤情報、人口動態や衛星画像など、不動産に影響するあらゆるデータを収集・分析できるようになったからこそのサービスですが、このサービスのインパクトは、住まいに対する個人の意識を変えるとともに、中古不動産市場の活性化に影響を及ぼすことだと思っています」

表: 主要な不動産テック企業のビジネスモデル類型

 

家の売りどきを、自分でチェック

日本では、一度家を購入すると、その家の時価はいくらなのか、不動産仲介会社に査定を頼まない限り知ることは難しい。ところが自分の家の価格を随時チェックできれば、今売ると、住宅ローンの残債と比べて債務超過になるのか、もしくは売却益が出るのか、などを判断できます。

「と言うことは、それまで家を売るなど考えもしなかった人が、仲介事業者に頼らずに住み替えを検討できるようになる。自分の家や暮らし方に対して、もっと自分本位に自由に考えられるのです」

中古住宅市場の活性化に

従来の不動産業界には、旧弊とされるさまざまな慣習がありました。例えば、売主・買主の双方から同一仲介者が手数料を取る両手取引を狙った物件の囲い込み。横並びで固定化された仲介手数料。業者による不動産情報の独占。また、リフォームに代表される不透明な工事代金や、項目明細のない価格提示――。こうした業界本位の慣習は「不動産テック」の進展によって崩れ、業界は大きな構造変化を起こすと谷山は見ています。

「だからといって、既存の不動産事業者がシェアを奪われてしまうということではない。新しく登場するサービスによって不動産市場が活性化し、マーケットはむしろ広がっていくはずです」

中古住宅の流通は、今後日本の社会的な課題。情報活用の幅を広げ、流通させる仕組みをつくる不動産テックに期待できそうです。

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