空気感指数とは
Twitterの投稿内容の変化をもとに、日本人生活者が、怒っているのか、悲しんでいるのか、前向きなのかなどの「空気感」を測定し、それを野村総合研究所が「活気」「混乱」「落込み」「怒り」「緊張」「疲れ」の6指標で指数化したもの。
空気感指数の測り方
従来、人々の考え方の変化を把握するためにはアンケート調査などを実施する必要がありました。しかし、アンケート調査では個別の出来事に対する意見は調査できますが、今「落ち込んでいるのか」「前向きなのか」など、抽象的な個人の感覚を把握することは難しく、他の計測方法が求められていました。
多くの社会的な現象は、その反応がWeb上に投影されます。社会的にインパクトがある出来事があればSNSでの投稿が増えるため、投稿情報を使った社会的な研究も盛んに行われています。SNS情報は科学的に定量化ができれば、指標として活用できるのです。
今回の「空気感指数」では、「活気」「混乱」「落込み」「怒り」「緊張」「疲れ」の6指標で指数化しています。それぞれの感情を表現している単語リストを作成し、実際の書き込み情報をもとに、統計的性質が安定するように最終的な辞書を構築しています。その辞書に応じた書き込み量を毎日処理することで、6つの指標の変動を計測しています。
それぞれの指標にあてはまる感情は次の通りです。
今回の指標は、特定時点の水準を1とした場合の相対指数としています。同じ母集団の変化幅のみを考慮することで、「空気感」がどの方向に向かっているのかを相対的に把握することができます。
空気感指数の特徴
空気感指数の変動をみると、「緊張」指標は地震や台風などの自然災害が影響していたり、「怒り」指標は大きく変動する機会が少なく、出来事などの影響を受けることが少ないなどの特徴があります。また、「活気」の指標については、2015年から2019年末ぐらいまでは緩やかに右肩上がりで高まってきています。国内景気が良かったことを受けて、「活気」の空気感は高まっていったと言えるでしょう。
また、それぞれの指標には周期性があります。年間の周期性をみると、「緊張」は新年度が始まる4月に高まり、5月から9月の休みが多い期間では「疲れ」が高い傾向にあります。「混乱」は8月の夏休み時期だけは低くなる傾向にあります。
週間の周期性では「怒り」指標の変動が顕著で、月曜日から木曜日にかけて水準が高い傾向にあり、金曜日には減少し、土曜・日曜では極端に低くなっています。土日が休日となる会社員が多いことなどが影響しているといえるでしょう。
マーケティング戦略に反映できる「空気感」指数
今回の空気感の測定方法は、6種類の感情変化を即時に把握できることがポイントです。新しい政策に対する反応、企業のマーケティング戦略に対する評価などを即時に計測することができます。給付金などの政策が生活者を「活気」づかせるのか、「混乱」を招くのかなどを判断できる。日用品の値上げは「落込み」につながるのか、「疲れ」につながるのかなども把握できます。
実際に、それぞれの政策やマーケティング戦略が実行される前、発表した時点での日本人生活者の空気感を知ることで、政策実行の見直しを検討することもできるのです。