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プライシング

Pricing

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プライシングとは

プライシングは、商品・サービスの価値を見極め、価値を価格に転嫁し、狙った利益に転換する業務プロセス全体です。利益を最大化することが目的であり、そのために商品・サービスの価値を定量化し、競争環境やコスト構造も勘案して見合った価格を設定します。価格によって販売数量をコントロールすることで、目標とする利益の達成に貢献します。

「価格」と「プライシング」の違いとプライシングのポイント

価格とは、商品・サービスの価値を得るために消費者が負担する金銭で、プライシングの業務プロセスにおける一つのパラメーターです。
プライシングは、商品・サービスの価値を見極め、価値を価格に転嫁し、狙った利益に転換させる業務プロセス全体です。
商品・サービスの価値は、その機能やブランドの歴史、競争環境などによって変わります。それを見極めることがプライシングの最大のポイントとなります。

図表:プライシングのポイント

出所:下寛和著「プライシングの技法」(2022年、日経BP)より NRI作成

市場均衡における価格の決まり方(需要と供給の関係)

価格は、消費者心理と競争環境が作用し、均衡価格にたどり着く市場原理の中で決定されるものと、戦略的に設定されるものがあります。前者は、入札やダイナミックプライシング、閉店時間間近の食品の割引販売などがあげられ、需要と供給のバランスで価格が決まります。さらに、市場調査などを用いて価格感応度(商品の価格が消費者の行動に与える影響やその度合い)によりプライシングする手法もあります。

図表:市場均衡型のプライシング

出所:下寛和著「プライシングの技法」(2022年、日経BP)よりNRI作成

戦略的なプライシングで差別化を図る4つの視点と24の戦略

価格決定基準は、「価値」、「競争」、「コスト」の3つが基本ですが、プロスペクト理論のように人間の心理がゆがみとなることがあるため、広義には、「消費者心理」を加えた4つの基準があります。

図表:4つの価格決定基準

出所:下寛和著「プライシングの技法」(2022年、日経BP)よりNRI作成

プライシング戦略は、①製品・サービスの価格水準そのものを決めたり、消費者心理を利用した価格の見せ方に関する“純粋な戦略”、②ブランディングと密接に関係したり、売り方の工夫に近い“複合的な戦略”に大別されます。また、それぞれをさらに定量的な考え方であるか、定性的な考え方であるか、で分けることができ、下図のように24種類の戦略に分類できます。

図表:24のプライシング戦略とマッピング

出所:下寛和著「プライシングの技法」(2022年、日経BP)よりNRI作成

また、プライシングはブランディングと密接な関係があります。CMO(Chief Marketing Officer)が経営と現場の橋渡しを担い、マーケティング戦略全体で一貫性を持って値付けをすることが重要です。

プライシングのための8つの改革

プライシングのレベルを引き上げるために明日から取り組める8つの改革を紹介します。
ガイドラインを作る場合、ノウハウ(ベストプラクティス)を形式知化することで属人性を排除し、業務の質的向上につながったり、組織のガバナンスの強化や組織の在り方などの改革につながったりすることもあります。
価格の起案から決裁までのプロセス、決裁基準、役割を明確にするために、「縦」のガバナンスを、エリア間の正常な商流、機能間での整合をはかるために、地域と機能の「横」のガバナンスを効かせることも可能です。
価格は一度設定して終わりではなく、その後の売れ行きをウォッチし、消費者からのフィードバックを得ながら適切なポジションであったかを評価し、常に見直します。プライシングは、企業の戦略につながる重要な要素の一つであると言えます。

図表:プライシングのための8つの改革ポイント

出所:下寛和著「プライシングの技法」(2022年、日経BP)よりNRI作成

以上

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