インフラ投資を行う際には、リスク・リターンを適切に評価し、ポートフォリオを最適に保つための仕組みが必要です。
偏った分野に「ハイリスク・ミドルリターン」の案件を積み上げてしまう
近年、多くの企業が日本国内外の様々なインフラに対する投資を行っています。商社をはじめ、メーカーやエンジニアリング会社などインフラ企業による海外インフラへの投資も目立ちます。ハード単体で差別化が難しくなっているインフラ業界において投資・運営事業に参画することは正しい選択肢だといえます。しかしその多くが、「IRR*中心の投資判断を繰り返した結果、リスクの高い案件ばかりになる」、「将来の成長の種を仕込めない」、「歴代の“偉い人”が手掛けた案件が赤字を垂れ流している」、といった問題を抱えています。こうした企業は、取るべきでないリスクを抱え込んでしまい、それが顕在化すると、一気に巨額の損失に直面します。
* Internal Rate of Return(内部収益率)
リスクを評価、取捨選択してリターンとのバランスを保つ仕組みが必要
一方で、リスクをテイクせず、資金を投じるだけのインフラ投資事業では、期待できるリターンの水準は低くなってしまいます。求められるのは、「自らの強みでコントロールできるリスクはテイクして価値を生み出し、それ以外をパススルーすること」、「リスクが顕在化した場合に生じうる損失額を、自己資本額などを基準に設定する一定値以下に抑えておくこと」、「投資後にも適切にモニタリングし、リスク知見を蓄積するとともに、必要に応じEXITすること」、などが求められます。また、「 収益実績だけに囚われず、成長の種を仕込んでおくこと」も必要です。これらを、属人的でなく、組織として実行できるポートフォリオ/リスクマネジメントの仕組みを構築することが求められます。
■ ポートフォリオの理想像とインフラ投資を始めた企業が陥りがちな状態
NRIは、インフラ業界を熟知したコンサルタントが、コーポレート部門と事業部門の橋渡し役を担い、仕組みの構築をご支援します。
事業を理解しているからこそ、実効性のある仕組みを実現
NRIは、顧客の事業内容やリソースなどの特性にあわせたポートフォリオ/リスクマネジメントの仕組みの構築を支援します。この仕組みにおいて特に重要なことは、5つの要素、「評価対象」「指標」「リスク項目」「プロセス」「実施主体」を明確にすることです。NRIは、過去の豊富な実績をとおして蓄積した知見をもとに複数の具体的な選択肢を準備し、顧客との協議をとおして、最適な仕組みを選択・カスタマイズ設計します。
また、「現場による理解・実行」を確かなものにするための支援もNRIの特徴です。インフラ業界を熟知した弊社のコンサルタントは、事業部門に対する戦略策定支援を日常的に実施しています。こうした事業の実態についての知見を活用し、事業部門と各事業のリスク等について対等に議論しながら、一方で、事業の実態にあわせた仕組みのあり方をコーポレート部門と議論します。こうした活動をとおして、実効性のある仕組みを構築することができます。
ケース: 指標を設計し、現場と協議して事業リスクを評価、ポートフォリオを改革
NRIは、総合商社A社のポートフォリオ/リスクマネジメン
トの仕組みを設計し、現場への導入支援を実施しました。A社では、「モノを仕入れて販売する」、「組み合わせてシステム・サービスとして提供する」、「アセットに投資する」、といった多様なビジネスモデルが、先進国・新興国それぞれで実行されていました。こういった多様なビジネスについて、「各国・地域間でどの程度分担/集中すべきなのか」、「各ビジネスモデルをどういったバランスで持てばよいのか」、「どうやって部門間を公平に評価するのか」といった悩みを解決するための仕組みの設計を行いました。また、検討の過程では、それぞれの現場担当者と協議を行い、リスク項目の洗い出しと発生頻度・影響度の評価を実施。その結果をもとに、各部門の現状評価と、趨勢を維持した場合の将来のポートフォリオ評価を行い、改編についての方向性を明確にしました。
■ ポートフォリオ/リスクマネジメントを構成する5要素とNRIのアプローチ
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