従来型のインフラ整備・サービスは維持できない時代に突入

インフラストラクチャー（以下インフラ）が抱える課題は山積しています。これまでのインフラは、人口増加、産業誘致等の観点から整備され、地域コミュニティの基盤となってきました。
これからのインフラは、少子高齢化、人口の大都市圏集中の下、維持管理、老朽化および防災への対応に迫られています。また、人口減少下であってもサービスレベルの維持・向上、かつコスト削減も必要です。まさに地域の特性に応じたインフラサービスへの転換が必要となっています。
一方でIoT^＊やAI^＊等のICT技術の高度化、シェアード・エコノミーの勃興に伴い、地域コミュニティを対象として、テクノロジーや新しいビジネスモデルによるインフラ事業の機会が生じています。

＊ Internet of Things （モノのインターネット）

＊ Artificial Intelligence （人工知能）

地域コミュニティの特性を見据えたサービス設計が必要

すでに新たなサービスが萌芽しています。
電力会社は、電柱に通信やカメラ、表示機能を付加することで地域の見守り等に既往設備を有効活用しようとしています。
人口減少が迫る地域では、地域のコンパクトシティ構想が進められています。また、ドローン、自動運転、ICTとつながる自動車（connected car）の出現は、地域の人・モノの移動（Mobility）を根本的に変えつつあります。
自前の事業資産を見据えつつ、勃興するサービスや発想を付加することで、地域コミュニテイの実情を踏まえた効率的で持続可能なインフラサービスの設計がまさに可能となってきています。

■ 地域コミュニティを取り巻く環境変化と課題

多様なステークホルダーとのネットワークで事業開発を一気通貫で支援

新たなインフラサービスを構築していくためには、構想、具体化・検証および事業立上げの３段階のステップが必要となります。技術変化の速い今日、このステップを迅速（agile）に推進する必要があります。
また、新しい技術やサービスを活用したインフラサービスを地域コミュニティにおいて安定的、安全に提供できるかを検証していくことも重要となります。
NRIは、インフラ企業、技術、ビジネスモデル構築の専門家、地域でのPoCにおいて簡易なモデルを構築できるシステムエンジニアがチームを組み、事業の構想から立上げまで、一貫してサポートしてきた実績を有しています。
また、地域の行政機関との長年の関係をもとに、実証実験（PoC）および本格導入段階では、有望なパートナーとマッチングを図りつつ、実現性を高める支援を行ってきました。

＊ Proof of Concept （実証実験）

ケース： 社会インフラ領域における新規事業の立上げを支援

社会インフラ領域において新規参入を検討していた電機メーカA社のケースでは、構想から事業主体の立上げまで支援しました。本検討では、まず交通（道路、鉄道等）、ユーティリティ（電気、ガス、水道、通信）、ビルディングなど幅広い社会インフラ分野から、自社の強みが活かせる事業ドメインとターゲットを絞り込むことが課題でした。
NRIは、各分野の専門コンサルタントによる示唆を活用し、分野横断の幅広い検討を効率的に実施しました。事業の立上げ段階では、特に日々刻々生じる課題への迅速な対応が必要でした。この段階では、コンサルタントがA社に常駐し、柔軟かつ迅速に検討を推進しました。常駐コンサルタントは各種資料作成などの実務面でのサポートや営業活動の同行、第三者視点でのアドバイス等、様々な役割を担うことができます。上述のように、検討のフェーズに応じて最適な支援を行ないました。

■ 地域コミュニテイに対応したインフラサービス開発アプローチ

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労働力不足や情報の非対称性の解消により従来型のビジネスモデルは限界に

少子化に伴う就業者の減少や、働き方改革の機運拡大による労働力不足が見込まれています。住宅・不動産業界においても、従来型の営業マンの能力やネットワークに基づく販売や、人力に頼る仲介や賃貸管理などに代表されるような労働集約的な手法の見直しが余儀なくされるでしょう。
また、不動産価格の査定サービスの普及に代表されるように、消費者や顧客が有する情報量は多種多様となっています。これまで価値の源泉となってきた、消費者と事業者の情報の非対称性は徐々に解消される見込みであり、それに成り代わる付加価値提供が必要となってきます。

生産性向上（コスト削減、付加価値向上）に向けてデジタル活用が不可避に

他業界に比べて住宅・不動産業界のデジタル化は遅れていると言われていますが、それだけに今後のデジタル活用による飛躍的な生産性向上が期待されています。
DXはIT重説（重要事項説明）やオンライン内見といった、既存業務のIT化ではなく、データを分析することで抜本的なコスト削減や付加価値の向上を図るものです。顧客情報やWeb閲覧履歴を分析することで、見込み客の見極め精度を大幅に向上させるといった取組みが既に実現しています。また、センサー情報を分析することで最適なレイアウトを提案することも考えられます。さらには、居住空間やオフィス空間それ自体をマーケティングプラットフォームとして活用する新たなビジネスモデルも近い将来に現実のものとなるでしょう。

■ 住宅・不動産業界の環境変化と求められるDX活用

業界への理解を踏まえ、デジタルによる業務効率化を推進

DXの推進にあたっては、自社ビジネスの環境変化への理解に始まり、デジタルの活用に関わる一貫した改革が重要であり、目的感が不透明なツールやシステム導入ありきでは期待する効果を十分に上げられません。
NRIは、住宅・不動産企業の経営戦略、事業戦略立案に数多くの経験を有しています。また、独自の業界研究を行っており、DX推進の前提となる業界動向や将来の環境変化に関する知見を長期にわたり蓄積しています。また、他業界も含めたDXの先進事例やその支援実績も豊富に有しており、不動産・住宅業界の現状や課題、既存事例から得られる勘所を押さえた、効率的なDX推進を支援してきました。
DX推進は全社的なアプローチが重要です。時に社内PoC^＊を行いながら、DXの効果を実感しつつ、業務変革を進める実装まで支援いたします。

＊ Proof of Concept（実証実験）

住宅・不動産業界におけるデジタルマーケティングの推進支援

近年、住宅・不動産業界の各社の長期戦略や中期経営計画等においてITの活用やデジタル化の推進について言及されるケースが多くなっています。
NRIは、不動産企業A社に向けて、営業活動の効率化が課題となっていたところ、Web閲覧履歴の分析を活用したマーケティングを提案。アクセスページやその頻度を分析することで、顧客の検討が深まった時期を逃さずに、顧客の好みに応じた提案を行うことで、より効率的な営業活動が可能となりました。
さらには、展開しているWeb広告と、閲覧者の契約履歴とを分析することで、広告費の約4分の1が契約に結びついていないという実態を把握。より効果的なWeb広告展開への検討へと結びついています。

■ NRIのDX推進支援サービス

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成長の活路としての海外不動産市場

国内市場を維持しつつ、持続的な成長のためには海外市場の成長を取り込んでいくことが、不動産分野においても不可欠となってきています。特に、中国や東南アジア（アセアン）などの新興国は、経済や人口の成長に支えられ、不動産に対する旺盛な需要が続くと見込まれています。
他方、欧米や豪州など先進国も、安定的な市場として改めて注目されています。
これから海外市場への進出を検討している企業にとっては、まず参入戦略の検討が必要になります。既に海外で事業を行っている企業にとっては、今後の成長に向けた戦略や拡大の方向性・方針といった「次の一手」の検討が求められます。

市場環境や事業状況に応じた事業展開が重要

海外不動産事業の検討にあたっては、複数の論点があります。アセットや事業・収益モデル等どのような事業領域を手掛けるのか、どこの国・都市で行うのか、それをどのような事業スキームやパートナーと実施するのか、といった検討が必要です。そして、海外での事業拡大が進み、複数の国や事業領域に跨るようになると、それらを横断的に管理するための仕組みも必要になります。
上記の点は、参入初期とその後では異なってくるものであるため、対象市場の成熟度や自社の経営・事業状況などを踏まえ、事業展開のステップをロードマップとして策定することが重要になってきています。

■ 海外不動産事業検討の視点・論点／事業展開の方向性

不動産を専門とするコンサルタントが、事業推進を伴走支援

自社事業の段階・状況によって、海外不動産事業に関する検討課題は異なります。NRIはそれぞれの課題に対応した支援が可能です。
市場調査では、これまで数多くの国・都市の選定・評価および都市環境・都市構造の分析実績があります。また具体的な開発案件の事業性評価も行なってきました。さらに、一連の現地調査を踏まえた、海外不動産事業の戦略立案も数多く支援してきました。事業分野ごとの参入戦略からその後の事業展開のロードマップまで描くことが可能です。
海外の不動産事業は、極めてローカライズされた事業であるため、現地事業者との提携や協業が特に重要になります。そのため、現地パートナーの評価、選定の経験も数多く実施しています。
NRIの海外拠点には不動産を専門とするコンサルタントがおり、上記のような支援を現地拠点と連携しながら進めています。

ケース： 進出国の選定、戦略立案および実施

ケース1： 進出有望都市評価
NRIは、不動産会社A社に対し中長期的な海外事業の発展を見据え、戦略的な視点から数十の海外都市を評価し、進出有望都市の抽出を調査力を駆使して支援しました。
ケース2： 現地企業とのパートナリング
NRIは、進出候補国が絞られている不動産会社B社に対し、当該国のパートナー企業の探索とその評価を行ないました。その後、提携候補企業との交渉を行ない、協業の合意形成を支援しました。
ケース3： 事業拡大支援
既に開発事業で海外進出を果たしている不動産会社C社に対し、不動産サービス事業の拡大検討を支援しました。現地での不動産サービス事業の市場規模、成長性を調査し、既存の開発事業や現地パートナーとのシナジーや協業拡大に向けた検討を行ないました。

■ 海外不動産事業検討における支援内容

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