多様化・複雑化する社会課題と国際的な関心の高まりを受けて、企業経営においても経済価値と社会価値の両立が強く求められるようになった。社会課題には「ライフサイクル」がある。一部の人が社会課題解決の必要性を唱え始めると、社会的な関心度が高まり、国際機関や政府が課題設定を行うようになる。経済社会の中で社会課題が一定の存在感を示すようになり、将来を含めた社会的インパクトが認知・理解されると、長期投資家をはじめ金融分野での取り組みが一気に加速し、企業の経営や事業に変革を促す。まさに今、多くの企業が重点課題として取り組む「カーボンニュートラル」はこの段階にある。やがて、それらの取り組みや活動が規範化・標準化されると、社会課題が解決に向かい、社会的な関心度や重要度も薄れていく。われわれは、政策立案や企業経営において、社会課題のライフサイクルを念頭に、常にアンテナを高く張り、次なる社会課題の動きをいち早く察知することが重要である。

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執筆者情報

• 水石 仁

  社会システムコンサルティング部長

※組織名、職名は現在と異なる場合があります。